先日放送のクラシックTVは「武井壮と!クラシック破天荒列伝」と題し、「破天荒」をキーワードにクラシックを深掘り
ベートーヴェン、ワーグナー、サティの破天荒エピソードが紹介された。
中でも面白かったのが、サティ。
司会の清塚信也さんも「クラシック界きっての破天荒」と言う。
「サティのここが破天荒」として
①日常が破天荒
②曲のタイトルが破天荒
③楽譜の書き方が破天荒
と紹介。
サティは砂糖、米、チーズ、果物に生えたカビなど、白いものしか食べなかったとか(グレン・グールドにも似たようなエピソードがありますよね)
また「何分の何拍子」と書いていない楽譜があって、「縦の線がない」すなわち小節線がない作品があるという。
極め付きのエピソードが、依頼された作曲の料金を「高すぎると」言って安くしたんだとか
たしかに破天荒ですねぇ…
サティといえば、私にとって忘れられない想い出がある。
今から20年以上前のこと。
普段の私は、失恋しようがピアノの発表会で失敗しようが、ストレスで体を壊すなどということはほとんどないが、その時は明らかに体に異変を感じた。
まず。
会社にいると胃けいれんのような症状が現れ、30分に1回吐き気を催す。
そして、オフィスがある2階まで階段を昇るだけで息が切れ、尋常ではない疲労感が体を襲う。
あまりのしんどさに、お昼休みは会社にあったリクライニングチェアで休ませてもらっていた。
そんなことが、かれこれ1年近く続いた。
今振り返ると、原因は仕事や人間関係のストレスだったと思えるが(ナイーブだった若かりし頃の私)、ほかにも「体調不良の大きな理由の一つだったのでは?」と、今でも信じて疑わないことがある。
サティの音楽だ。
その会社は、社長が親会社から独立して同僚数人と立ち上げた会社で、社長の意のまま、好きに振る舞っていた。
就業時間中は終日、社長がチョイスしたCDがエンドレスで流れていた。
おそらく社長の好みだったと思うが、それがサティのピアノ曲だった🎹
当時は誰が作った曲だか分からなかったけど、メロディだけは鮮烈に覚えている。
「グノシェンヌ1番」だ。
あの、揺れるような、メランコリックな旋律
これが1日8時間、延々とエンドレスで流れるのだ。
正直言って、鬱になりそうだった(いや、なっていたんだと思う)
サティ好きの方には申し訳ないエピソードになってしまったが、今でもグノシェンヌ1番が流れると、あの頃のちょっぴり胸が痛むような記憶がよみがえるのであった…