ショパンの前奏曲「雨だれ」は、言わずもがな24のプレリュードの中の15番目にあたる曲だ☔
はたしてショパンは、このプレリュードが全曲通して演奏されるのを想定して作曲したのかどうか、今となっては知る由もない。
ポリーニが弾くショパンのプレリュードを毎朝聴いていた時期があった。
そのうち生で聴いてみたいという気持が高まり、24のプレリュードが入ったプログラムを探していたら見つけたリサイタル。
昨日、聴いてきました。
せんがわピアノオーディションで最優秀賞を受賞した、田代優奈さんのピアノリサイタル🎹
田代さんはまだ現役の藝大生だそう。
せんがわピアノオーディションとは、開館当初からせんがわ劇場に備えられているスタインウェイ社製グランドピアノを生かしたプロジェクトとして、調布市在住のピアニスト高橋多佳子さんの発案によって2012年にスタートしたという。
せんがわ劇場は100人も入ればいっぱいになりそうな小劇場だ
プログラムをひらくと、まずショパンの24の前奏曲が演奏されるようだ。
舞台に現れたのは、細身ですらりとした色白の女性。
白いドレスに大きめのスパンコールがキラキラと光り、とても美しい。
息を飲んで第1音が響くのをじっと見守る。
流麗な第1番 ハ長調の演奏が始まる。
あ~、まるで毎朝聴いていたポリーニのようだ
女性ピアニストの演奏を生で聴くのは、コンクールを除けば高橋多佳子さん以来。
女性ならではの美しさ、しなやかさは男性ピアニストにはないものだ。
しかし、CDで聴くのと生で演奏を聴くのとでは、迫力や臨場感がまるで違うことをあらためて実感する。
会場がサロンのように小さかったことも、ピアノを聴くのに適していたのかもしれない。
24のプレリュードは、まるでピアノが紡ぎだす小宇宙のよう
田代さんの演奏は芸術的ですらあった。
休憩を挟んだあと、演奏前に田代さんがマイクを手にした。
訥々と話す姿からは、シャイな人柄がうかがえる。
次に弾くラヴェルとスクリャービンは、特別に好きな作曲家だとか。
ラヴェルの鏡は時間の都合上、第5曲を除く第4曲までを演奏するという。
スクリャービンのピアノソナタ第4番は、第1楽章は彼方の星へ憧れ近付こうとする努力と倦怠、第2楽章は最後、星ではなく太陽に突っ込んでいくかのような高揚感が表現されているという。
まるで、よだかの星だ。
田代さんのピアノは卓越した技術もさることながら、若さの中に成熟した美が感じられる。
アンコールは「今日お聴きいただいたことへの感謝を込めて」と前置きし、スクリャービンの詩曲を。
リサイタルが終わり会場を出ると、先ほどまでステージに立っていた田代さんがお見送りに出ていた。
「素晴らしかったです」と感想を伝えることができました
許可をいただき写真を撮るも、暗くてよく写らなかった。
家に帰り田代さんのことを調べると、お母さまはピアノ教師で、お父さまはバリトンの声楽家だということが分かる。
お母さまは、小さいころ人見知りだった娘にホッとできる場所ができたらと思いピアノを勧めたそうだ。
田代優奈さんの今後の活躍を応援したいと思います🎹