師走とは思えない小春日和?の中、地元近くのホールへ「徳永二男が案内する『作曲家の謎!9 チャイコフスキー&プロコフィエフ』」という催しを聴きに行ってきました。



ちょうど1週間前のこと。


母から「これ聴きに行きたいんだけど、チケットまだあるかしら?」と今日の催しのチラシを見せられる。


映画「蜜蜂と遠雷」で流れるプロコフィエフのピアノコンチェルト3番に感銘を受けたらしく、最近は映画のサウンドトラックに合わせてハノンを練習している母(ある意味、新手の練習法かも)。


コンサートを観に行きたいという母のリクエストに応え、ホールに電話をすると、人気シリーズなのか残り2席だという。


席は離れていたが、どうしても聴きたいという母の意を汲みチケットを購入した。  


ここのホールは昔からよく来るが、小ホールは初めて。


コンサートは1時間程度で終わるのかと思いきや、2時開演4時終演との貼り紙が。


「けっこう長いんだね」とひとりごちながら入場すると、ホールの方から「解説が多く入ります」と声を掛けられる。


定刻になり、ステージに徳永二男さんが登場する。

徳永さんは、長らくNHK交響楽団のコンサートマスターをつとめた方だそう。


ホールの方の説明どおり、まずは今日の演目についての解説があった。 


以下、徳永さんの解説をメモした内容を紹介したいと思います✏️



今日取り上げたチャイコフスキーとプロコフィエフは、どちらもロシアの作曲家。


チャイコフスキーが1840年生まれ、プロコフィエフは、その51年後に生まれており、およそ半世紀の違いがある。


チャイコフスキーは法律学校を卒業後、法務省へ勤める。

しかし音楽が大好きだったチャイコフスキーは、知人のつてでアントン・ルービンシュタインに師事。

21歳から作曲活動をスタートさせる。

チャイコフスキーはサンクトペテルブルク音楽院の第1期生なんだとか。


21歳と、大作曲家にしてはスタートが遅かったチャイコフスキーだが、「ロメオとジュリエット」で名声を得る。

その後、大富豪のメック夫人から援助を受け、作曲に専念できたという。

ちなみに、チャイコフスキーとメック夫人は一度も会ったことがないんだとか。


チャイコフスキーの音楽について徳永さんは「旋律がとても美しく、オーケストレーションが素晴らしい」と評価。


チャイコフスキーは、あの超有名な交響曲第6番「悲愴」の初演を指揮した9日後に亡くなったという。



片やプロコフィエフは、1891年にウクライナ・ドネツクに生まれる。 

チャイコフスキーと同じく、サンクトペテルブルク音楽院に学ぶ。

その後、米国に亡命。

日本の敦賀港に上陸し、横浜で3回コンサートを行ったという。


プロコフィエフはアメリカに4年、ヨーロッパに14年いたが、最終的にロシアに帰国したそうだ。



ここで、お待ちかねの今日のゲスト、ピアノの髙木竜馬さんが登場する。


髙木さんは、数々の国際コンクールで優勝したほか、アニメ「ピアノの森」で雨宮修平役の演奏を担当したピアニストだ。


始めに、プロコフィエフのピアノソナタ 第7番 変ロ長調 作品83より 第2楽章を演奏する。

このソナタは「戦争ソナタ」の名でも有名だ。


髙木さんのピアノは、静謐さの中に重厚感が感じられる。

打鍵とリズム、アーティキュレーションがしっかりしていて、聴いていて安心感がある。たしかな音楽だ。


続いて、徳永さんとのヴァイオリン・ソナタ第2番


この曲は初めて聴いたけど、今日演奏された中で最も良いと感じた。

もともとフルートのためのソナタを改作した作品だという。


お二人の演奏は、小さなホールだからか音がすこぶるクリア。

右寄りの後方の席だったのも、ピアノの音を聴くうえでは良かったのかもしれない。


第4楽章では、短いがピアノソロが入る。

髙木さんによる低音のバスがホールに響く。

ふと、発表会で弾くショパンの雨だれのfffの部分が頭に浮かぶ。

少しでも今日聴いた音に近付けるような演奏ができたらいいなと思う。


休憩を挟み、第2部へ。


髙木さん、昨日はヴァイオリニストの三浦文彰さんと長野でコンサートだったとのこと。


「お酒好きらしいね」と徳永さん。

髙木さん、昨日は帰りの新幹線の中で三浦さんと飲んだという。


私見だが、ピアニストってお酒をよく飲むイメージがある。

練習やコンサートで緊張した精神を、すぐにでも弛緩させたいのだろうか。


続いて、休憩中に受け付けていた質問への回答コーナーへ。


「最もよく聴くのがプロコフィエフ、聴かないのがチャイコフスキー」だという質問者さん。

その理由について「プロコフィエフはスリルがあるが、チャイコフスキーはスリルがない」とのこと。


徳永さんは「チャイコフスキーは美しいメロディーとオーケストレーションの素晴らしさがある」と説明。

「チャイコフスキーもぜひ聴いてください」と訴えていた。


続いて「プロコフィエフは、なぜソ連に戻ったのか?」との質問が。


徳永さんは、本人に聞いてみないと分からないとしたうえで「原点に戻りたかったのでは?」と推測する。


質問コーナーは続く。


「精神を病んでいる人におすすめのチャイコフスキーの曲は?」との問いには「(バイオリン?)コンチェルトの2楽章とシンフォニー4番が好き」と徳永さん。


「プロコフィエフを演奏するうえで意識していることは?」との質問には、髙木さんが回答する。


今日演奏した戦争ソナタは、ロシアの先生に「ここは爆弾が落ちるところだから、ピアノをぶっ叩きなさい」と教わったという笑い泣き


トークが終了後、チャイコフスキーの

6つの小品 Op.19-6(ピアノソロ)

なつかしい土地の思い出

メディテーション

メロディー

ワルツ・スケルツォが演奏される。


アンコールは「チャイコフスキーとプロコフィエフとは全く関係ないんですけど」と断りを入れたうえで、タイスの瞑想曲を🎻🎹


一流のお二人による、大満足のコンサートでしたキラキラ


今日の曲目:
プロコフィエフ/

 ピアノソナタ 第7番 変ロ長調 作品83より 第2楽章(ピアノソロ)
 ヴァイオリン・ソナタ第2番
チャイコフスキー/
 主題と変奏 Op.19-6(ピアノソロ)
 メディテーション

 メロディ
 ワルツ・スケルツォ

髙木竜馬さんのサイン入りポスター