昨日からやっと、きらきら星のバリエーションⅧ、短調の右手練習に取りかかっている。
初めは「これ、どうやって弾くの」と、楽譜に突っ込みを入れたくなるようなタイの多用に、なかなか練習に着手できずにいたのだ。
小学生の頃に習ったバイエルでもタイは勉強したはずだが、こんなに多用される楽譜は見たことがない。
まずは音源を聴き、こんな感じだろうかとゆっくり弾いてみる。
そしたら、意外とあっさり弾けた。
タイを多用することにより(私もこの表現を多用しているが)、一音前の余韻が残り、えもいわれぬ不穏な響きを醸す。
これ一つとっても「モーツァルトって、なんて天才」と感動してしまう。
相変わらず、シューベルトの3つのピアノ曲の沼にはまり中で、YouTubeでいろんなピアニストの演奏を聴いている。
調べると、この曲を世界で初めて録音したのは、毎朝きらきら星のCD観賞でお世話になっているギーゼキングだという。
モーツァルトのイメージが強いギーゼキングだが、シューベルトをどのように弾くのだろうとYouTubeで聴いてみると、思いのほかテンポ速く弾く。
そんな中、ある日ヴィタリー・ピサレンコというウクライナのキエフ出身のピアニストの音源に行き着く。
フランツ・リスト国際ピアノコンクールで優勝するなど、華麗な経歴の持ち主のようだ。演奏中の憂いを帯びた横顔が印象的なピアニストだ。
彼のピアノはフォルテすらもソフトなタッチで弾き、いつまでも聴いていたいような心地良さを感じる。
以前、ウクライナのバレエ団に密着したドキュメントを観た。団員たちはロシアによる侵攻後、世界中に避難して散り散りになっていたという。
ピサレンコさんは今、どうしているのだろう。
ロシアとウクライナの芸術、そして庶民の生活が一日でも早く復興することを願っている。