私おかめが、30数年ぶりにピアノを再開した。

 

ピアノは小学1年から4年生の頃まで習っていたが、楽しいと思ったことは一度もなく

発表会で弾くはずだった「エリーゼのために」を泣く泣く練習した記憶しかない。

 

でも聴く方は好きで、ここ最近、若いピアニストのコンサートに出かけたり

元朝日新聞記者の稲垣えみ子さんの著書「老後とピアノ」が話題になっていることもあって

勢いで近所の音楽教室の無料体験を予約した。

 

先に大人ピアノを始めていた母から、

「ピアノはいいわよ」と口酸っぱく勧められていたことも大きかったかもしれない。

 

実はこのコロナ禍に別の音楽教室のピアノ体験を受講したことがあるのだが

その時は正式に習うまでには至らなかった。

 

今回改めてメールで体験予約をすると早速、

「当日は練習したい曲をお持ちください」との返信が!

 

母がピアノを習っていることもあって、家にはさまざまな教本や楽譜がある。

当日は母推奨の「トンプソン現代ピアノ教本1」を持参し、音楽教室へ自転車を走らせた。

 

早めに到着した私を迎えてくれたのは、音大生と見紛うような若い女性。

しかもタレントの卵かというほど可愛い。(なぜか)不安が募る。

 

始めに自己紹介がてら、これまでのピアノ歴と再開しようと思ったきっかけ、

今後の希望などについて説明した。

母に勧められたトンプソンをテキストにしたいと伝えると、

「私もトンプソン好きです」と先生。その言葉に少しほっとする。

 

「では、弾いてみてください」と、早速レッスンがスタート。

久々のワンツーマンでのピアノ体験に、若干緊張で手が震える。

それでも何とか1曲目を弾き終えると、

「中指と薬指の音が弱めなので、意識的に強く弾いてみてください」とのアドバイスが。

何とも的確な指摘に、初対面の不安が消える。

 

少し弾くのに慣れてきた私に「練習してきたんですか?」と先生。

サクサクと次の曲へ進む。

 

ワルツの曲では「日本人は農耕民族なのでワルツは苦手なのです」との説明が。

なぜ? 農耕民族関係ある??

疑問が頭の中を巡るが、時間がもったいないので質問はせずそのまま次へ進む。

 

数曲弾いた後、「この教室に大人の生徒さんはいますか?」と聞いてみると

ここにはいないが、ほかの教室にはいるとのこと。

子どもが習っているのを見たお母さんが、一緒に始めたりすることもあるのだとか。

先生はこの教室での指導は5年目で、その前は都心で大人に教えていたこともあるらしい。

 

レッスンでは繰り返し

「なるべく楽譜の指の番号は見ないで弾くように」と指導が入る。

すると、簡単な曲でもつっかえてしまう。

 

私がピアノを続けられなかった大きな理由の一つに、楽譜を読むのが苦手だったことがある。特にヘ音記号が苦手だった。

 

トンプソンでは初めからヘ音記号が使われているが

私が当時習っていたバイエルは途中から突然、ヘ音記号が登場する(らしい)。

先生いわく、へ音記号に弱いのはバイエルを習っていた人にありがちな特徴らしい。

 

今の子どもたちが使うテキストを見せてもらうと、最初からヘ音記号が使われている。

これはのちのち譜読みや演奏技術において差が付くと感じずにはいられなかった。

 

先生の的確な指導と適度な距離感に手応えと好感を持った私は

月2回コースの受講を希望し、体験レッスンを終えた。

 

当時使用していたバイエルの教本