更級日記は市原から始まった~地域の伝統、文化を語り継ぐギャラリー~
市原市五井の相川浩さんが開いているギャラリーを訪ねました。相川さんが、4日の美術展の表彰式を機会にメールで声を掛けてくれたものです。
相川さんのギャラリーは、五井駅から国分寺方向へ向かう更級通りに面したご自宅の前にあります。
相川さんは、臨海工業地帯にある三井造船の営業マンとして働いて来た後、6年前に、このギャラリーを開きました。
相川さんがギャラリーで紹介するのは、市原で活動する陶芸や工芸などの作家の作品ばかりです。
相川さんは、サラリーマン時代に全国を営業で回り、各地で地元の伝統や文化を語り継ぐ活動が盛んなことに触発されて、定年後にギャラリーを開きました。
今回、相川さんがメールで僕に、見に来て欲しいと言っていた作品は、割れた焼き物の中に考える人が座る陶芸作品でした。
これは、市原市で陶芸作品を作っている遠藤みどりさんの作品です。
焼きの途中で割れてしまった壺で何か表現出来ないかと考えた遠藤さんは、壊れた壺を地球に見立てて、考える人を焼き加えました。
環境破壊が進む世界を真剣に憂えることを問いかけています。
時に科学や芸術では、偶然が発見や本質を表現する作品を生み出しますが、それも、科学者や芸術家の問題意識が根底にあってこそ起きることです。
この作品も、遠藤さんの環境破壊への危機意識があってこそ、生まれたものです。
相川さんは、ご自身でも、市原に伝わる伝統や文化を語り継ぐ活動をしています。
それは、更級日記の生まれた場所としての市原を語り継ぐために紙芝居やカルタを作って市内の子供たちやご老人たちに読み聞かせる活動です。
市原市国分寺台は、11世紀に上総国の受領を務めていた菅原孝標の娘、菅原孝標女が書いた更級日記に出発点として描かれている場所です。相川さんのギャラリーの前の通りも、それに因んで更級通りと名付けられています。
相川さんは、この他にも、市原の方言を手書きの挿絵入りのパネルにして紹介するなどの活動もしています。
相川さんは、地元に伝わる伝統、文化を語り継ぐことが、自分の人生の宿題だとして、これからも市内で活動する芸術家や地元の伝統をギャラリーに展示していきたいと話していました。
僕にも政治活動に加えて、地域のために何が出来るのかを、考えさせられたギャラリー鑑賞でした。
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