$岡田ユキのブログ



成りあがり―矢沢永吉激論集
矢沢 永吉


私の友人に前世、現世、未来の見える人がいます。
今までの人生を見てもらった時、この世ではシンガーと虐待防止活動の2本柱が天命だといわれました。
自分でもしっかりとそちらを目指し進まなければいけないという自覚はあるのですが、時々他人の声に惑わされて見失う時があります。
2005年当時の私も、何度も苦しみまだ見えぬ未来にもがいていたようですが、そんな中でも神の声を届けてくださる人がしっかりといたんだな・・・!と、思います。
現実の辛さに負けず、感覚を信じてやり続けることがしいてはいかに幸せを手に入れることができるのか?身をもって体験させていただきました。
本来歩むべき道から外れようとすると、きちんと神様が戻して下さるようですね!

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今から約9年前、私は1冊の本と出会いました。
その本とは矢沢永吉さんの「成りあがり」です。
当時の私は生活に追われ、息子の子育てと必死の毎日でした。
しかしまだ現在の私のように自分自身で何も気持ちの整理がつかず、実家の母からの電話によって、私の将来を不安にさせるような嫌がらせを感じながらも、ただメジャーデビューすることを夢みておりました。
有名になれば、自分の将来の不安も取り除かれ、母親も見返す事が出来ると勘違いしていたのです。
レコード会社のディレクターにデモテープを聞いてもらうと、まず私の年齢の事を指摘されました。
次にターゲット(対象年齢層)は?と聞かれるのです。
私は年齢など関係なくと多くの人に聞いて欲しいと言うと、「それだけじゃだめだね!」とはねつけられました。
また実際に息子を育てていくとなぜか、両親の気持ちが理解出来るどころか、反対に「あれ?何かが違うのでは?」と両親に対して日増しに疑問が沸いてくるのでした。
またその数年前から、経済面や心の苦しさから藁をもすがる思いで、ある宗教にも入っておりました。
そこでは宗教と言うよりも組織に対しての寄付の強要や代表者やそれを代弁する幹部の教えが全てと言われながらも自分では何かおかしいと疑問がわきました。
宗教の世界なら日々の現実の社会のように上下関係もなく、純粋な世界で自分と向き合えると思ったのですが、まったく逆で現実の社会以上に階級差別を感じてしまいました。
私は数年前にやっとの思いで脱会しましたが、かなり酷い目にあいました。
そんな中で出会った「成りあがり」は、まさに私の人生を先に歩いている先輩が書いてくれた、私にとっての大切なバイブルだと思いました。
読み進むうちに涙があふれ、まさに永ちゃんの過去の人生と、私の現在の人生がダブったのです。
私にとって永年探し求めていたものに初めて出会えた瞬間でした。
ですからこれほど嬉しい事はなく、1度読み終えても何度も何度も繰り返し読みました。
今まで宗教に求めていた答えを私は「成りあがり」で得ることができたのです。
過去の私は被虐体験によりかなり心が捻じ曲がっていました。
永ちゃんの成りあがりが出版された当時私は高校生でした。
友達の間でこの本が盛り上り、私にも「読むと感動するよ!」と友達は貸してくれましたが、それまで読書の習慣がなかった私は2~3ページほど読んで友達に返し、読んだふりをしていたのです。
それから数年たって社会人となり、当時仲の良かった友達が大の矢沢永吉ファンでやはり私に「成りあがり」を貸してくれたのですが、成功している永ちゃんが羨ましく、「私ジョニ-大倉のファンやし」と言ってその時も読まなかったのです。
そして3度目が9年前、上京と共にがむしゃらにいろいろな本を読んで、自分探しをしていた時、行き着けの本屋さんで偶然「成りあがり」を見つけたのです。
このタイトルを見つけたときなぜか懐かしさと、3度目と言う運命を感じました。
スターの矢沢とマイナーな私、まったく立場は違うのになぜかちょっぴり気になったのでしょう。
思わず手にとり買ってしまったのです。
家に帰って読み出すと「えー?」「そんな?」「矢沢永吉さんとはなんと素晴らしい人?」と感動を押さえきれずに、喜びのあまり永ちゃんに手紙を書きました。
翌日友達に「永ちゃんに手紙を書いて送った」と言ったら、「いい年してファンレターなんか書いて、天下の矢沢が読むわけないよ!」と思いっきり馬鹿にされました。
ですがそれから数日後、驚いた事に永ちゃん本人から「矢沢です、岡田さん?手紙読んだよ」と言って電話をかけて来てくださったのです。
私は信じられないような、でも嬉しいけど、ほんまもんの矢沢永吉さんやし、緊張しながら「は・はい」と答えました。
電話の内容は、私の手紙を読んで直接私に「頑張って欲しい!」と伝えたかったそうです。
永ちゃんの話によると、ファンレターは必ず読んでいるそうです、ですがこうして自分から直接電話した事はなかったそうです。
私は永ちゃんに送った手紙の中に、同じ音楽家として私のデモテープも同封しておいたのです。
なぜなら私の作った曲(愛する人々へを聴く)や歌を聴いてもらう事により、真剣に永ちゃんに手紙を書いた事を伝えたかったからです。
そして嬉しい事にその思いが、永ちゃんには伝わったのでした。
永ちゃんのお話では、私はいい曲を書くし、声もすごくいいのに、どうしてレコード会社が認めないんだろうね?と思ったそうです。
だから「今の現実は苦しくても音楽だけは捨てないで頑張ってほしい」と私に一言自分の口で伝えたかったのだそうです。
矢沢永吉さんとは、本当に心のある温かい人です。
「永ちゃん、今までごめんなさい」(ファンの皆様ごめんなさい)と何度いっても足りない私でした。
その電話がきっかけとなり私が手紙を書き、たまに永ちゃんが励ましの電話を下さるというように、とても美しい心の関係を今も築いております。
私は現実が苦しくて何度も音楽の道を捨てようと思いましたが、そのたびに永ちゃんから「ブルーなんだって?」と電話を頂き慰めてもらいながら、「ユキさんの生き方や考え方は全然間違っていなくて、おかしいのは今の世の中だよ、むしろユキさんのような人間が世の中にでていかなくてはいけないんだよ!だからもっと強くなって頑張って!」と励ましてもらったから、現在の私があるのです。
私が永ちゃんに初めて送った手紙に書いたことは、「私は女性版、矢沢永吉になります」永ちゃんのように責任をもって、若者達に夢や希望そして勇気を与えられる人になりたいと思ったからです。そういい切った以上、頑張らなければいけないんです。
永ちゃんはスターだから遠い人と思っていたけれど、スターだからこそ人の痛みや心の温かさは誰よりもよく知っている人だったのです。
この9年永ちゃんとは一度も面識はありませんが「心の師」として私の苦しみを知り、一番理解してくださった人でしょう。
思い起こせば永ちゃんは私のカウンセラーだったんですね!だからこそ今永ちゃんに対する感謝の気持ちが、苦しみの渦中にいる人の役に立ちたいと言う思いに変わっているのだと思います。
たまに私はカウンセリングの時に永ちゃんとの方法を使うときがあります。
それにより数人が立ち直っています。
「永ちゃんほんまにありがとう!これからもがんばります。」

岡田ユキ