高校時代。
都内の私立高校だった為、生徒のほとんどは電車通学でした。
ある時、コウちゃんが自転車に乗ってきました。
『岡田! これ乗って放課後遊び行こうぜ!』
普段、登下校で駅と学校間の決められたルートしか歩かない学校周辺。
その日、僕達は決められた線路を脱線し、自由という自転車を手に入れました。
その後コウちゃんは家庭を持ち→大学を卒業→就職と若干順序にバラつきはありますが、結果オーライ社会人。
岡田は見事にそのまま社会から脱線し続けます。
2人は2人乗りをして風になりました。
10分で警察に捕まりました。
校則は破れても法律は破れませんでした。
その後また2人乗り。
隣町の駅まで自転車で突っ走りました。
ボーリングやゲームセンターやホームセンターがあるその駅には中高生がたくさん。
「おっほー! 俺達自分の足でここまできたんだな!」
ちなみに自転車はほぼコウちゃんがこぎました。
すると2人の茶髪の女子高生がいました。
血肉沸き上がる岡田、自由を手にした勢いで現地の女子をナンパしたくなりました。
友人いわく、こういうのは病気と言うそうです。
病気してきました。
知り合った2人の女子高生。
1人は髪の毛で左顔面を隠してるのでキタロウと名付けました。
もう1人は烏龍茶ばかり飲んでるのでウーロンと名付けました。
何度か遊ぶ内に、僕はキタロウを好きに。
しかしキタロウはコウちゃんがお気に入り。
でもコウちゃんには彼女が。
ウーロンは烏龍茶を飲んでいます。
若かった僕達、まさにラブカツ、あいのり、恋するハニカミ、恋のマイアヒ。
あったねそんな曲。
病気の岡田はキタロウに告白しました。
見事にフラれました。
それから数日後、バイト中の岡田にキタロウから電話が。
『考えたんだけどさぁ……やっぱ付き合っても……いいよ』
興奮した岡田はお客様が注文したドンペリを一気飲みしました。
本当はポカリスエットだったかもしれません。
しかし喜びは束の間でした。次の日またキタロウから電話。
『ごめん、昨日酔っててさぁ……付き合うのは無しの方向で……』
ムカついた岡田は言いました。
「ところでお前バイトしない? キャバクラなんだけどさ」
『は? アリエナイ』
こうして電話を切られました。
2人ともありえなかったんだと思います。
おしまい