ここは教習所。


18歳になった人間が30万円弱の大金を払ったり、オリコ分割払いにしたりしてやっと入れる選ばれし者の居場所。


来ている人のほとんどは18~20歳ぐらい。
 

 

あとは
 

 

「今更免許取ってどうするの? TSUTAYAの会員になりたいの?」
 

 

って聞きたくなるような壮年の方達。


岡田は22歳、まぁわりと周りは年下ばっか。
 

 

僕の行く地元の教習所にはヤンキーという絶滅種ばかり。
 

 

あとは絶対マルボロメンソールライトかセブンスターかキャスター吸ってそうな金髪ギャル。
 

 

あと「おまえリネージュ好きだろ?」って聞きたくなる様なおとなしい男子が少数です。
 

 

でもたまに、5分間観察したら嫌いになれる、なんかムカつくゴスロリというレアポケモンもいました。


入り口を入ると、すぐに待機用の椅子が並び、これから学科授業や技能教習(運転)をする人が待機しています。


みんな暇だからか知らないけど、入り口を入った瞬間は注目の的。

 

(ハッ! 年下どもが!)


というテンションで入り口をくぐる岡田。


見事にスッ転びました。


入り口にはトラップ(段差)があるんです。


肌の黒いお兄さんが転ぶだけでみんな失笑です。
 

 

この調子だとダルマさんが転んでもみんな笑いそうです。


その日も技能教習。


まず教官が運転して、お手本を見せてくれます。


『はい、じゃあ運転交替ねー』

 

「はい!」

 

 

『岡田くん、車に入ったらまず?』
 

 

車に入ったらまず携帯電話を取出し、

 

「俺今から運転すんだけど! スゴくね!? スゴくね!? 俺ヤバくね!?」

 

という電話を友達5人にかけたくなります。

 

本当は、車に入ったらまず自分の座席シートの調節です。

 


クラッチペダルやブレーキ、アクセルペダルに、程良くマイルドに足が届く様に座席シートを調節するという上級者の心得です。


「あ、僕の足届かない。教官 足長いですよねー」


『はは、死ね』


(えぇ!?)


一瞬空耳あわわかと思いました。


眼鏡をかけて運転する岡田。馴染みが見たら確実に吹き出す光景です。
 

 

助手席には教官。


『岡田くんはあれだね、見た目ワイルドなのに丁寧な運転するね』


「あ、育ちがいいんです!」


『はは、殺すぞ』


(えぇ!?)


この教官おかしいのは髪の量だけかと思ったけど、色々おかしいズラ……。



様々な不安を残し、技能教習は終わりました。


車を降り、教習所の入り口に向かう岡田。
 

 

入り口内にはまたヤンキーな奴らがこっちを見てます。


(ハッ! 年下ど

 

見事にスッ転びました


4回の教習で5回スッ転んでます。


(お、岡田前方不注意ズラ……)

 

 

おしまい