僕が6歳のある日。

 

 

家族3人で買い物をしました。
 

 

その日は土曜日。

 


繁華街は人が多く、まるで学生が出すゴミ袋の何使ったのか分からないティッシュの様に人間で溢れていました。


母が買い物に行き、父と僕は外で待っていました。
 

 

父が一瞬目を離した直後、僕はいませんでした。
 

 

焦った父と母は僕を探しましたが、見つかりません。

 

その頃、少年岡田は駅にいました。


(俺……今迷子なんだな。とにかく家に帰らなきゃ)

 

彼は6歳にしてIQ200を越える神童だと思っていたのです。
 

 

駅には着きましたが、問題発生。

 

少年岡田は無一文。


あるのは2つの小さな魂と学生帽。


少し考えてから、駅員同士が話している隙に、改札をしゃがんでぶっちぎりました。


(俺、子供だから最悪バレてもだいじょぶだ)


自身の年齢を見越した確信犯でした。


駅で電車を待っていると、知らないおばさんが話かけてきました

 

『ぼく、1人? お母さんは?』


「い、いません!」(今は)

 

『……そう……これあげるから強く生きるのよ?』


そう言って、その人は飴をくれました。
 

 

お陰様でわりと強く生きてます。


駅から降りる際には駅員に


「切符落としちゃったんでしゅよ……てへ☆」


みたいな事を言い、改札を切り抜けました。


自宅に着き、鍵は持っていたので家に入ると電話がかかってきました。母です。


『あ! 帰ってたのね! 今から帰るからね!』


こうして、僕は無事に家族と再会できました。
 

 

これが僕が覚えている限り、初めての迷子。


10代のある日。

 

 

母が僕の記憶に無い、岡田生まれて初めての迷子話を聞かせてくれました。


僕が3歳の頃。


家族3人でTDLへ。
(TDL:チー ドラ ロン)

 

子供の国というアトラクション(大量の子どもの人形が狂った様に歌ったり踊るやつ)で号泣した3歳の僕。
 

 

せっかく来たのに、ショッパナから帰りたいと言いだしたそうです。
 

 

困った父と母。
 

 

とりあえず、母が買い物をし、父と僕は(以下略)


父が一瞬目を離した直後、僕はいませんでした。


必死で探す父と母。

 

結局、迷子センターにいるのが分かりました。


(幼い我が子は、両親と離れてきっと泣いている)

 

そう思って両親は迷子センターに入ったそうです。


「それで俺何してたの?」
 

 

僕が聞くと、母は言いました。


『笑ってたのよ、ものすごく』

 

なんでも、僕はお菓子を食べながら係員のお姉さんに抱っこされ、ピーターパンを見ていたそうです。
 

 

それはもうとてもご機嫌で。


『あの頃からあんたは女好きになると思ったわ』


「あっ、だから俺ピーターパン好きなんだ!」

 

 

おしまい