大学1年の夏手前。
道行く女の子に声をかける事はあいさつだというおかしな日本語を言っていた高校時代から、大好きな絵が描ける大学生活へ突入しました。
ある日、大学で出来た友人が聞いてきました。
『岡田ってナンパとかした事あんの?』
………………。
「す、少しなら……」
ここは東京から1000km離れた山口県。
ドロドロした東京の対人関係とグッバイ。
新天地山口で僕はべんぞうさんのごとく勉学にいそしんでました。
『えぇナンパスポットがあるんよー! 行こうや!』
ナンパスポット?
……けど、僕は生まれ変わったんだ!
世界平和のために、もうチャラチャラしたナンパなんてしないで、真面目に絵の勉強をしようと誓ったんです!
身体は18歳! 心は年少! 名探偵まぁ結局友人達と車でナンパスポットとやらへ。
福岡県は小倉。
海沿いの街なんですが、週末の夜は若者達が集まります。
東京と比べて、地方のナンパ事情の違いの1つは車の価値でした。
都内は線路が発達しているので、車でのアプローチが薄く、ナンパは体一つで行えるエコにしてガチンコでした。
しかし少なくても、山口、福岡県は違いました。
ナンパ=車
車が無いとナンパする資格すらないという空気です。
これは当時結構ビックリしました。
ちなみに十代の岡田は免許すらありません。
持ってる資格は英検4級と健康保険証。
そして、いよいよ、友人の車で週末の夜の小倉へ向かいます。
初めて見た時、面食らいました。
波止場に泊まった軽自動車の横に並ぶ十数台の車の行列。それが何列もあるのです。
女性が数人乗った1台の軽自動車に、オスの猿が乗った車が横からアプローチ。
フィーリングが合わなかったら前に進み、後ろに並んでいる車が前に行き、アプローチ。
そんなローテーションで、フィーリングが合うと、2台並んだ車はカラオケや、海、夜の闇に消えていきます。
『おほ! 今日はおかわりできそうやな!』
異様な光景にビックリしてる岡田を尻目に、地元の人間はそう言いました。
そして手当たり次第に行列に並びました。
15分も待っていれば順番が回ってきます。
男『何しよーん!?』
女『えー、友達と語ってた』
大体ワンパターンでこんな会話をします。
(なるほど……こっちのナンパはこうやるのか)
こういう事には状況判断と学習能力の高い岡田。
短時間で、小倉の夜のルールを理解していきました。
『岡田、ナンパした事あるんやろ!? してみぃや!』
(いいのかい?)
つづく