野球、大嫌いです。
木製だか金属製だか中国製だかの棒を振り回し、軟球だか硬球だかスーパーボールか何かを打ってるだけで何が楽しいんですか?
僕から言わせたらバットと言うよりBUT!
硬球と言うよりFUCK YOU!
今のうまくない?
19歳の頃、友人の紹介で3日間だけ西武ドーム(現メットライフドーム)で弁当配達のバイトをしてました。
売り子じゃなくて、予約されたお弁当様に客を届ける仕事です。
若干間違えました。
とにかく、バイトとはいえ、その時初めて球場という建造物に入り、プロ野球観戦というイベントを肌で体験しました。
(ふぅん……この熱気……まぁ悪くねぇな……)
野球は嫌いだけど、お祭り・イベント・人混み大好き19歳です。
白熱する試合。沸き上がる歓声と応援。
でっ、どっちが勝ってんの?
てかライオンズどっち?
しかしバイトはそれどころじゃありません。
『オカダくん! 大至急3番ゲートまでこの弁当20個届けて!』
「3番ゲート分かりません!」
生まれ持った不幸な才能方向音痴と、思った事を大声で口にしてしまうこの性格。
1日3回迷子になりました。
(もちろん仕事はしっかり頑張りました。)
団体旅行で野球観戦をする中国の旅行者達。
弁当を持って来ると、我先に奪い取られました。
(イテテッ、ちゃんと人数分あるから、押すなよ!)
バイトが終わると僕がもう腹ペコ。
食べ物配ってんのに配ってる自分が腹減ってる事に納得できず、わりとキレてました。
そんな僕に、店長さんはドーム内で売ってるラーメンとカレーを用意してくれてました。
日本男児が好きな食べ物の二巨塔を音速でたいらげる日本男児。
しかし
(あれ? 水無くね?)
季節は真夏。
まわりは仕事で誰もいません。
一度の食事で最低1リットルの水を消費する岡田。
数秒後、僕は西武ドーム内を猛烈な勢いで走っていました。
山場を迎えた試合。
沸き上がる歓声。
口の中にラーメンとカレーを頬張りながら必死で飲み物を探すオカーダ。
なんとか売店を見付け、烏龍茶を頼みました。
(は? カップの烏龍茶が500円だと!?)
しかし背に腹は変えられません。
でも愛はいつか友情に変わります。
1杯じゃ足りないので2杯頼みました。
(今日のバイト代の6分の1……)
カレーとラーメンの居場所に戻り、残りを食べていると店長が戻ってきました。
『あ、オカダくん、隣の店に言っておいたから烏龍茶なら好きなだけ貰えるからね』
は?
隣の店に烏龍茶が置いてあった上、タダで飲めました。
(野球なんか大嫌いだ……)
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