自分の部屋の棚を整理していたら一冊のノートが出てきました。
わざわざ見えない所に隠されています。
隠したはずの本人が
(なんだこのノート?)
と思いましたが、開いた瞬間、一度放棄したデスノートをもう一度手にした時のように内容も隠した理由も思い出しました。
ついでに死神も見えた気がします。
以下はノートの内容の要約です。
2006年、夏。
ある女友達Sさん(仮名)の電話から全てが始まりました。
彼女は高校時代からの友人で、当時はキャバクラで働きながらホストの彼氏、略してホス氏(仮名)と同棲していました。
電話の内容はそのホス氏が、どうやら浮気をしているというものでした。
「っつたって、お互い夜やってんだから妥協するとこもあんじゃねぇの?」
と言う岡田(本名)に対し、
「仕事は割り切れるし別にいいの! けどあいつは自分から言いだした約束破ってるぽいんだ! 気に入らなくない!?」
彼氏の約束とは
1、客と同伴、アフターは報告
2、携帯は見せる
3、色恋営業はしない
しかし、彼が働くホストクラブのホームページの掲示板では同伴アフターをしている節があるそうです。
なのに報告が無かったり、携帯の受信ボックスのメッセージが不自然に消されている。
そして客との電話時に隠れて電話する、など違和感のある行動が目立つと言うのです。
要するに、彼女は異性と関わる云々より、約束を破り嘘をつかれるのが気に入らないのです。
ちなみに元ホストの端くれホくらいの経験で、人生で2000人近くの女性に「一目惚れって信じる?」と声をかけた僕から言わせたら、こういう男性はほぼ100パーセントやましい事してます。
「要するに嘘の証拠が欲しい訳だろ? 知ってどうすんの?」
別れるのかと思いきや
「今あいつの家に住まわせてもらってるからさぁ、頭上がらないんだよねぇ。弱み握って優位な立場に立ちたい」
なるほど。
彼女は家出中で、彼氏の家に住まわせてもらってる状態でした。
自分も相手名義の家での同棲時代があったので、上下関係は普通の恋愛以上に死活問題です。
「ちなみに彼氏好きなの?」
という僕の質問に対し、彼女は言いました。
「むしろ嫌い。目的家だから」
俺、それ言われたら前世からの縁で出会った恋人でもちょっと嫌いになると思う。
「ねぇ、どうにかして弱み握れない?」
「できるけど、成功報酬で一発ヤらせろ」
僕は不二子ちゃんに対するルパンのように言いました。
「……考えとく」
彼女は客に対するキャバ嬢の様に言いました。
こうして、俺VSホストの頭脳戦(ライアーゲーム)が始まりました。
ノートをめくりながら現在の僕は思いました。
(俺、暇だったんだな……)
つづく