22歳の頃、大手清涼飲料水メーカーの、下請けの下請けの下請けくらいの仕事をしていました。
その帰りの車の中での出来事です。
『あー、今日歯医者行くのマジだりぃよー』
母校も職場も元カノも一緒のケンケンがマジだるそうにそう言いました。
「何、虫歯?」
『いや、親不知(おやしらず)がマジ痛いんだよねぇ』
僕は30歳を過ぎた現在も、親不知が生えてきません。
まわりのほとんどの成人は親不知が生えてます。
(何で俺だけ親不知生えねぇんだ? 俺、親知照?)
ケンケンはこう続けました。
『つうか歯医者代ねぇんだ。3000円貸してくんね?』
「あぁ、いいけど」
ちなみに僕が人にお金貸すのはこのとき数年ぶりです。
しかし、僕から3000円を受け取ったケンケンは信じられない一言を放ちました。
『良かった。これで1万円札崩さずに済むわ』
(はあ゙あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ん!!?)
次の日。
親不知を抜いたケンケンが出勤。
『歯医者で親不知抜いたらさぁ、寝て起きても血が止まらねぇんだ』
「へぇ」
『起きたらさぁ、枕が殺人現場みたいに血で染まってんの!』
そして帰りの車の中。
ボソリと独り言のケンケン。
『あの殺人枕、洗濯しなきゃなぁ……』
(さつじんまくら!)
「あははは、ゲホッ!」
ツボに入り、大爆笑した挙句むせた俺。
当時職場ではケンケンバカ説が流れました。
試しに常識クイズを出しました。
問題
【二兎追うものは?】
正解は【一兎も獲ず】です。
しかし彼の答えは
『三兎目を追え?』
ちげーよ。でも新しいよ。
「♪ありーがーとう、さよーなら……」
ある日、僕は仕事終わりで気分良く歌ってました。
するとケンケンが突然、僕の歌に入ってきました。
『こーんにちわー♪』
別れた後にあいさつしてどうすんだよ。
正しくは、「ありがとう、さよなら、俺の彼女」です。
『そろそろ彼女欲しい』
と言い出したケンケン。
「最近連絡してる、ほらアノ子とか、飯でも食いに行ったら?」
彼に好意のある女性の名前を挙げてみると、
『はっ! 金の無駄だよ!』
と言い放ちました。
(こいつマジひでぇな……)
相武紗季ちゃんとデートできるなら本気で10万円払うそうです。
深津絵里さんなら30万円払うそうです。
安室奈美恵さんは10万円だそうです。
基準が分かりません。
仕事中。
『俺が今何考えてるか分かる?』
と突然言いだすケンケン。
「おっぱいが揉みたい?」
自分がしたい事を言う俺。
『ブー! シャラポワとヤりたい』
「何で?」
『なんか強い子供産んでくれそうじゃん!』
「何が?」
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近著のご紹介のコーナー。