22歳くらいのある日、薄いハムと飲んでました。
 

 

薄いハムは、6歳からの幼なじみで、アホなイタズラばかりしてきました。
 

 

中学生の頃。
 

 

給食で余ったみかんを集めて2人で、壁にぶん投げて遊びました。

 


みかんがハジける度に2人は小鬼の様にキャッキャッと喜びました。
 

 

学校のベランダに落ちたボールを拾う為に、窓から外に出た知らない先輩を、息の合ったコンビネーションで窓の鍵を閉めて閉じ込めました。

 


テンパって泣きそうな先輩を隠れて見ながら大爆笑する2人。
 

 

下校中。
 

 

駅のベンチで電車を待っていると、薄いハムは突然
 

 

「山分けね」
 

 

と言いました。

 


(何が?)
 

 

と彼の足元を見ると、なんと一万円札。

 

 

他にも酔っ払った薄いハムは、女の子に酒瓶投げます。
 

 

お金が絡むと友達でも殴ります。
 

 

けれども僕と彼はベストフレンド。


その日は2人でコンビニでビールを買い、彼の家で宅飲みしました
 

 

しかしお酒大好きな2人は、瞬殺でビールを全滅させました。
 

 

僕が「他に酒は無いのか」と聞くと、彼は笑いながら1本の瓶を出してきました。
 

 

どうやらウォッカのようです。
 

 

「舐めてみ」
 

 

と言われ舐めてみました。


「ぶぅっ! は!」
 

 

僕はぶっ飛びました。
 

 

辛いというか、なんか舌が凍りながら焼ける感じです。
 

 

そのお酒はアルコール度数90度。

 


エチルアルコールより度数が高く、触るとスゥスゥして指が清潔になった気がします。
 

 

滅菌力MAXです。

 

 

……………………


「……って事は火つくよね?」
 

 

ニヤニヤしながら聞く俺。

 

「もちろん火、つきますよ……」

 


ニヤニヤしながら答える彼。
 

 

ガラス製の灰皿にその酒を垂らし
 

 

着火。
 

 

室内で燃え上がる炎。
 

 

大爆笑する2人。


パキッ。


静かに割れるガラスの灰皿。
 

 

あせる2人。


燃え上がる炎。



「フーフー!」

 

 

と、息で炎を消そうとする薄いハム。

 

一緒に

 

 

「フーフー!」

 

 

して炎を消そうとする俺。



(こんななさけない姿、誰にも見られたくねぇ)


2人の酒くさい吐息でなんとか鎮火。


夜中の一時です。

 


22歳の成人男性が、2人して燃え上がる炎に向かって「フーフー」していました。

 


きっと世界のどこかでは、同じ時間にバースデーケーキのロウソクの火に「フー」していた人もいるはずです。

 

 

さんざん飲んで、彼が先に就寝。


ビックリする程の寝相の悪さで、僕に蹴りを入れた挙げ句、
 

 

「これは経済イジメか?」
 

 

という寝言。
 

 

とりあえず僕をイジメてると思います。