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 (オオイシヒロト作画 comicoカラー版奴隷区)

 

僕と23人の奴隷という小説を執筆するにあたり、作品の初めから最後まで根底で流れる、大動脈のようなテーマが『情緒的リアル』です。

 

 

情緒とは

 

「事に触れて起こるさまざまの微妙な感情。また、その感情を起こさせる特殊な雰囲気」

 

のことを指します。

 

 

現実において感じる私達の情緒を、作品に色濃く盛り込む、というテーマを押し出しています。

 

 

人の心の動きを押し出すなんて、一人称視点の独白形式の小説としては当たり前で、何を今さらというテーマなんですが、
 

 

そういった形式を初めて書く僕にとっては新たな試みであり、恐ろしく大切な事象で、根底のテーマに設定しました。

 

 

僕1人で24人分もの人生と視点を、ある意味管理し描く上で、そのテーマがないと書き上げることはできないと判断したんです。

 

 

以前からいろいろなところで言っていますが、処女作品「少年と老婆」を含め、「奴隷区」も、僕にとっては「ある一作品を描くための修行作品」でした。
 

 

「王者」、「奴隷」、「勇者」の3作品を描いて、

 

 

初めてその1作品を描くことができると判断したのです。

 

 

少し哲学的なお話になってしまうんですが、
 

 

少年と老婆は「心から湧き出る行動」そのものを描き、
 

 

奴隷区は「現実から影響された心境、即ち情緒」を描いた作品です。

 

 

物語の登場人物たちが作中で触れた「熱い冷たい」を、よりうまく読者に伝えるはもちろんですが、文章作品においての
 

 

「心境による変化、小さな感動」を表すことを意識し、執筆しました。

 

 

以上を意識してもしなくても、面白かった、と感じてもらえるよう、誠心誠意の執筆をして参りましたので、原作小説版も、また別の作品も、どうぞよろしくお願いしますね。