大学卒業後もぶっちぎりの無職だった23歳のとき、美容室に行きました。
 

後日面接なので、髪を短くしてスきに行ったのです。
 

若者の行くこじゃれた美容室に行きたい所ですが、実際は埼玉県は狭山ヶ丘のおばちゃんが行く美容室に行きました。
 

店の名前は「三銃士とおばさん」
 

僕は初めてこの店の看板を見た時、大爆笑しました。

 

三日間くらい会う友人や電話する友人に


「ぷぷぷ、聞いて聞いて? 三銃士とおばさんっていう美容室だよ? 三銃士もおばさんも美容室も、まったく関係無くね? つうか4P?」
 

ぐらいにツボにはまって言い触らしてました。
 
まさか自分が行くとは夢にも思ってませんでしたが、何より安いし一番近い。
 

三銃士はいませんが、おばさんはいました。
 
店に行く直前、僕は23にもなって酢イカ串に酢漬けのイカ刺したやつ)を箱買いしてました。


駄菓子屋出てから美容室までに、すでに5本食べてました。

 

さぞかし酢っぱい匂いのする客だったでしょう。東京では流行ってんだよ? 知らないの? 僕も知らない。
 
美容室で、おばさんみたいなお姉さんとおしゃべりしながら髪切ってもらいました。


一通り切ってもらいましたが、僕が襟足をもっと切ってくれと言うと
 

「え? 襟足こんなに切っていいの?」
 

(え? 襟足こんなに切ったらまずいの?)
 

というような不安なやりとりもありました。
 
結果、いや、もう何の文句もなく、リクエストよりもカッコ良く切ってくれましたよ。


今までに行った、若い人が切ってくれるどの美容室よりも腕は確かでした。

 

30分間女性セブンを読んでた甲斐がありましたよ。

るんるん気分で酢イカ食べながら帰りました。


けど後日面接には落ちました。