高校時代のある冬の夜、新宿にて、僕以外イケてる男子4人で遊んでました。
すると偶然、別の友人が新宿にいる事がわかり、合流しました。
その友人はリョウちゃんという、10段階中7くらいのアホだけど、憎めないスケベでした。
なぜ新宿に一人でいたか尋ねると、「ネットで知り合った千葉の二人の女の子と会う」と言い出したのです。
刺激に飢えた10代の男子達には、何ておもしろそうな話でしょう。
強引に一緒に合流する事にしました。
合計5人の17歳はドキドキしながら、待ち合わせ場所の新宿駅で女の子を待ちました。
相手の特徴を聞いていた一人の友人が「あれっぽくね?」と二人の女子高生を指差します。
そこには、制服にダッフルコートを着た2人の金髪の女子高生がいました。
一人は人類というか霊長類で、たぶんゴリラの親戚です。
もう一人は、人類というよりアンパンマンの眷属で、体全体を上から思いっきりギュッとストレスを与えた、もはやマクドナルドのメニューみたいな子でした。
二人とも千葉から来たというのに、ちょっとそこのコンビニに行くような当時ですら流行りが終わったルーズソックスにキティちゃんサンダルでした。
あまりにもショッキングな映像で、失禁する者や泣きだす者が続出しませんでしたが、みんな開いた口がふさがらない様子でした。
ドン引きしてる僕達を尻目に、テンションの高いリョウちゃんは楽しそうにその子達と話はじめました。
この空気はマズイと思い、僕の提案でプリクラを撮りに行く事に。思い出作らせてさっさと帰そうと考えたのです。
途中その場にいたUGが、新宿の夜空を見ながら
「星になりたい」
とつぶやきました。穢れなきイケてる顔として生まれた彼は、一生関わらなかったかもしれない女の子と会っただけで、そこまで言ったのです。彼の、泣きそうな大きな目を僕は一生忘れません。
プリクラを撮った後、機転を効かせた僕は
「君達、千葉からじゃん? もう帰らないと終電無くなるべ?」
と2人に言いました。心では
(帰れ! ブタとゴリラ! あ、ブタゴリラだ!)
とか思ってました。
納得して二人は帰る空気に。
その時、空気を読まないリョウちゃんが
「あ! カラオケ行こうよ!」
と言いだしました。
結局、カラオケも行きました。
部屋の狭さを理由に、UGをはじめ2人は別室へ。
リョウちゃんと僕を含む3人は生け贄に。
彼女らは終始、松浦あやを歌いながらお互いを誉め合ってました。
ゴリラはブタを
「この子可愛くない? この子可愛くない? モテるんだよ?」
と新商品のシャンプーのように勧めてきます。カワイイ系というか飼いたい系だよね。
そんな感じで、彼女達の「イケメン高校生と新宿カラオケツアー」は終了しました。
後にこの話は「千葉の悪夢」という名前で、数年後まで酒の肴になりました。