22歳の夏、ボランティア活動で中国に行きました。
薄いハムのご家族が行くはずが、事情から僕が代わりに無料で行かせていただくことに。生涯感謝です。
とはいえ観光ではなく、ボランティアです。
砂漠化が広がる地域で日本人の我々が、ポプラの木を植えるという活動でした。
参加者はもれなく僕のお父さんやお母さん世代です。
そこに毎日海でタンニングし、お肌真っ黒に金ネックをして髪の毛が重力に逆らった、惑星ベジータから地球に降り立って22年の下級戦士と言い張る変な子が紛れ込みました。
最初見えない壁が見えるくらいありました。
しかし持ち前の、お母さん世代受けする愉快で素直な性格で、本当に周りの皆さまには良くしていただきました。
北京や万里長城などへの軽い観光を経て、内モンゴル地方という草と馬しかない超田舎に行き、ゴビ砂漠の中のクブチ砂漠というとんでもない規模の砂漠へ行きました。
くる日もくる日も砂漠のド真ん中で穴を掘り、木を植えました。タンクトップで。
「頑張れ紫外線! 負けるな素肌!」とか一人でほざいてました。
現地の女の子は、僕を見て笑いながら「シシヴァ! シシヴァ!」と言いました。
通訳さんに意味を聞くと「ライオン! ライオン!」だそうです。まんざらでもない気分でした。
中国語もすぐに覚えました。
お茶をくれた女性に、超ネイティブな発音で「シェイシェ」と言ったら、ものすごい勢いで話かけられました。
どうやら中国人と間違われるくらい素晴らしいシェイシェだったようです。
食事は、日本人には口に合わないらしく、みんなまずいと言っていました。
僕だけ
「うまいっス、マジうまいっス!」
と言ってモリモリ食べてました。やっぱりみんなちょっと引いてました。
そんな感じの一週間で日本に帰国しました。
久しぶりの日本、みんな喜んでる中、僕は違う事で感動していました。
それは初日の夜に気付いた事件でした。
(あ、替えのパンツ忘れた)
僕はパンツを忘れていたのです。靴下もタンクトップも持ってきていたのに、パンツは忘れていたのです。
所持パンは今履いてるボクサーのみです。
問題です。
六泊七日の海外旅行で、あなたはパンツをぶっちぎりで忘れました。
周りには初対面の他人と言葉の通じない外国人しかいません。
あなたならどうしますか?
解答。
僕は毎日洗って、一枚のパンツで中国を横断しました。
誰にもバレずに日本に帰れた時は情けなさが達成感に変わりましたよ。
僕は一枚のパンツで砂漠化を救ったのです。
すごくなーい?