こんにちは、子どもが生まれてから戸愚呂40パーセントくらいの風邪をずっと引くようになった岡田です。

 

【WEB小説からマンガ原作へ】

まずはじめに、あんまり微細に分析するコーナーではないので、大まかな、書き手の居酒屋トークで受け取って頂ければと思います。なので、「いや違う、こうだ」とか「私はこう思う」「保険見直すなら保険見直し本舗ぉお!」など何か感じるものがあればコメント欄などに残して頂ければと思います。それを眺めながら金麦でも飲みましょう。

そもそもこの話題を書こうと思ったのが、僕がコミカライズをした2012年からのこの5年間で、小説からのコミカライズだけでなく、WEBマンガを掲載する媒体が爆発的に増えたこと、昔から知っている横並びの書き手さんたちがみーんなコミカライズしていることに「あれ、みんなどうしたの?」と浦島太郎みたいな気持ちになったことがはじまりです。なのでちょっと宣伝しておきましたよ。

【めっちゃ増えたよね、無料マンガアプリ!】


と言う訳でいよいよ本題です。「ちょっと聞いてよ!」「みんな知ってるよ!」って感じなのが、この5年でマンガアプリ・サイトがめちゃくちゃ増えたことです。めちゃコミやマンガボックスをはじめ小学館のマンガワン、集英社のジャンプ+など大手はもちろん、個人的に注目しているオリジナルマンガのGANMAや、あらゆる連載漫画からオリジナルまで読めるニコニコ静画にLINEマンガなど、多分全部のアプリ入れれば20年くらい家引き籠っていい時代です。

僕は高校生のときピークで8000冊くらいのマンガや小説を所有し、数万冊を超える作品を読みながら国分寺でナンパをしていた村一番のマンガ好きでしたが、今じゃスマホ一つでその百倍の最新作が読める豚になれるわけです。

当時は大抵の良作を読みつくした自信がありますが、ここ10年くらいで大卒、無職、就職、無職、出版、結婚、出産とマリオカートも真っ青の脱線ライフステージが変わるたびに追いつけていない実感があります。

あとこのブログ書くために調べるにあたり、奴隷区連載してたマンガボックスの母体がDeNaさんだって今知りました。

これはありがたいことですが、人気を頂くほど作品は手から離れていくもので、自分の作品が現在どこで掲載されているかわからなくなってきます。

【WEBマンガの成功】

この背景は単純に、マンガとスマホ(電子書籍)の相性が良いことと、WEB原作のマンガが売れていることにあると思います。

エブリスタを例にしても、大体3年周期で、爆裂ヒットするコンテンツが生まれています。いずれも小説です。

ところが、ここで小説だけの成功例ではなく、コミカライズも数にいれると、売れる可能性がさらに増えています。奴隷区がその典型で、小説版の売り上げは実はそこそこでしたが(それでも新人にしては随分刷って頂いています。)、コミック版はガツンガツン売れました。

掘り下げるともう一つ記事書けるくらい長くなるので簡単に終わらせますが、「売れる作品がおもしろい作品であることを前提に、おもしろい作品と売れる作品は違う」という一見矛盾した流れが出版業界にはあります。

まったく面識(多分)ないはずですが、僕が育児終わってチャンスがあれば、一度飲みながらお話を伺ってみたい水谷健吾先生の食料人類なんかが良い例です。原案は一緒でも作画や見せ方・売り方を変えるだけで桁違いに売れる例があります。これは僕個人結構びっくりした半面、書き手としてはすごく前向きな良い例だと思います。

これは書籍だけでなく商品を売ることにおいてすべて当てはまりますが、現代でミリオンいくほとんどの作品は営業さんをはじめ仕掛け人の力が絶対に大きいです。作者本人の場合であっても売れる商業作品は、仕掛け人が絶対にいます。

以上は独断と偏見ですが、結果として、今は小説だけでなく、コミカライズでもチャンスが増えた時代であり、むしろコミカライズのほうが安パイな印象すらあります。露出できる媒体も多いし、お客さんも多く、その導線もスマホの普及で確立されています。

【WEBに小説載せてる人の傾向】

ここはあんまりおもしろくないので飛ばして頂いてOKですが、作品傾向にもよりますが、WEB小説を書いてるクリエイターがマンガを読んで育ってることも、小説がコミック原作になる傾向に大きく関わっていると思います。

WEB小説を書いてるクリエイター層で、アニメ・マンガから影響を受けていない方のほうが少なく、WEB小説のクリエイターが書く小説あるいは作風と、マンガが好相性なのは、ケータイ小説文化が生まれたときから結びつけれていたまさに見えてる運命だと僕は思います。

また文章ならではの意図的な叙述トリックが含まれるような小説を除いて、コミカライズできない小説作品のほうが少ないです。

マンガは当たればでかく、また巻数も小説以上に出せます。当然小説にも実はマンガよりスピード感のある出版が可能であることなど出版物として優れた部分は多くありますが、手っ取り早く情報や物語をひも解く上で、マンガは時間配分においても優れています。

【余談】

先日とある編集者との会話で大変興味深い話を聞いたのが、「(漫画原作者で著名な)小池一夫先生の時代をはじめ、昔はマンガの原作者と作画さんの2人体制で一作品を作るのが普通でしたが、高橋留美子先生やあだち充先生という「天才」が出現した時代を機に、漫画家一人で描く作品が増えた」という旨のお話を伺いました。

そういった意味では上記お2人のような天才はもちろん業界には多くいますが、昔に比べて今は少なく、それがいわゆる黄金期だったのかもしれませんね。

最近、原作者がいる漫画が増える傾向は、「デスノート」が作ったと思っています。

バクマンという同作者の漫画を読むと話が早いのですが、ドラゴンボールのように鳥山先生一人で描いた「天才型」の作品が(ちょっと興行は残念でしたが)ハリウッド映画化になるのは例がありましが、デスノートのように原作・作画「共闘型」の作品が多くのメディア化に加え、海外実写化になる例はそれまで僕は知りませんでした。また一度ヒットを出した大抵の人間が通る「二作目のヒットの壁」を、「共闘型」の書き手さんが突破したのも、珍しい例だと記憶しています。

【終わりに 傑作は万人の人生にあり】

僕が信じているのは、「傑作は万人の人生経験にあること」です。

これを読むどんな方にも一作品は傑作を書く力があります。これは歌詞活動なんかもそうで、文章のスキルに自信がなくても、マンガやドラマや映画が好きでやる気さえあれば、大抵どんな方でも一作品おもしろい作品は必ず書けます。その証明が誰でも書けるWEB小説の台頭です。

しかしここからが厳しいのが、二作品目もおもしろいもの・売れるものが書けるかどうかが、プロと素人の分かれ目です。

誤解を恐れずに言うと、絶対に100万部売れる作品を1作品生み出すより、絶対に30万部売れる作品を3回生み出すほうが、僕は難しいと思います。

ヒット作を出した大抵の作家さんが、この「二作目の壁」にぶち当たり、さらに振るいにかけられているのは、昭和の出版業界から今も常に続いています。いわゆる一発屋になるかどうか、僕も含め、WEB作品を書いている方もこの典型で、これを気持ちよく通過しているのは、最近だと望月麻衣先生だと思います。

あらゆる可能性が秘められた業界でありつつ、僕個人は、原作者・作画家・編集者が「この作品が人生最後だ」と臨終只今で制作している漫画が極めて少なく感じます。

その原因は日常にもある油断や怠惰、「妥協」に感じます。「作画さんがうまくやってくれる」「編集さんがうまくやってくれる」「この作者にまかせればなんとなくヒットが出る確率が高いだろう」と、どこかチーム内の他の力を当てにしている傾向が正直多いと感じています。

作品は我が子とよく言いますが、そんなの嘘です。本当に生命在るものと思って、最後まで我が子を大事にして、信じている作り手が今WEB媒体では少な過ぎるからです。

僕は今「俺が売るんだ」という一人立つ執念で、異能メイズ、ウエポンギーク、大奴隷区という三つのマンガ作品に関わらせて頂いています。

業界が盛り上がることを祈念して、この記事が皆さんの息抜きややる気に少しでも繋がれば幸いです。