まずは学生王座戦の運営をしてくださった皆様, そして共に戦ってくれた皆に感謝を。

ありがとうございました。

来年度春中四への参加を学部から禁止される可能性が否定できないため, これが私にとって学生将棋最後の大会になるかもしれません。なので久しぶりに雑記を更新しようと思いました。敬称などは省略させていただいております。

私個人としては大学からの許可を得て, 規定に則った行動をしていたため問題ないと考えています。ですが, 社会情勢を鑑みて本記事は匿名で投稿させていただきます。

 

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2020/12/21(月) 14:40

部のグループLINEにメッセージが流れた。

他大学が王座戦への参加を辞退したため, 弊学が参加できないか?という内容だった。

是非とも参加したいと思ったものの, その時は連絡できなかった。ただただ純粋に力不足と思ったからだ。謙遜でもなんでもなく, 私の棋力は部で上から14人(学生王座戦の定員)に入るか入らないかといった程度だと思ったからだ。大学将棋で最も弱いといわれる中四国ブロックの中で「ちょっと強いかもだけど確実に勝ってね」と言われるであろう程度。ただでさえ弱いのに他のことばかりしていて, 将棋からは少し離れていたのだから尚更だ。

王座戦ともなれば参加したいという人は少なくないだろうし, 先の短い私よりも下の代の子たちが出たほうが良いだろうとも思っていた。

 

22:51

電話がかかってきた。部のまとめ役をしてくれている子からだった。

「王座戦でてもらえないですか?」

正直, とても嬉しかった。私なんかが, という思いと共に「またあの舞台で指せる」という思いが込み上げてきた。

 

22(火)

参加できるかどうか自体がかなり怪しくなっていた。大学から参加の許可を得るには学務課への申請が必要で, 学務課への申請には参加者名簿が必要で, その参加者がなかなか集まらないという状況だった。ダメ元で同級生たちに参加してもらえないか聞いて回った。すると彼らは二つ返事で了解してくれた。結局, 1人は辞退したが, それでもありがたいと思った。なんとか人数が揃い, 参加できる可能性が見えてきた。

 

23(水) 18:00頃

出発前日になって再び出場辞退の可能性が浮上した。大学が定めたCOVID-19感染予防の規定に, 予定していたホテルが適合しないことが判明したためだ。具体的には, シングルのみ可と大学に通告されていたが, ツインを含めてでしか用意できないと言われたようだ。必死で探した。こんなことで貴重な機会を潰されたくないと思った。

ホテルは用意できたものの大学当局への報告が出発当日となってしまうため, 翌日になるまで参加できるかわからなくなった。

 

24(木) 9:36

正式に大学からの許可が下りた。なんとか参加まで漕ぎつけた。

 

25(金)

第1局 東京大学

相手の方の名前は対局が終わるまで分からない状態だったが, おかげで気楽に指せたようにも思う。

 

王座戦が始まった。

 

たった23手で主導権を握られた。序盤も序盤で突いた端歩を「ぬるいですよね?」と咎められた形だった。開始してから10分も経っていなかった。隣を見ると頼み込んで参加してもらった同級生は健闘していた。友人の相手は私でも顔を知っているレベルの有名人だった。私もまだ投げられないなと思った。だが, 粘ることすら許されず, 指せば指すほど手が付けられなくなっていき, あっさりと負けてしまった。全国の, それも上位を走り続ける大学は違うな, などと思った。あとで聞いてみると, 前日に行われた十傑戦(個人戦)で上位四名に入るほどの方だった。仕方ないとさえ思えた。

 

第2局 早稲田大学

囲いは充分に組めたものの, 読み抜けがあって一気に悪くしてしまった。その後, 相手の方の読み抜けがあり嫌味は付けられたものの, 広がりきった差が縮まることはなくしっかりと寄せ切られた。二局続けての惨敗だったが, 不思議と気分は悪くなかった。やっぱり自分なんかでは届かないんだと納得した。

隣で指していた友人はこの時もギリギリまで勝負を降りていなかった。強いな, と素直にそう思った。中四国予選においても部においても, 彼はこれまで目立った活躍をしていた訳ではなかった。それでもこの二局ですぐに勝負を降りることはしなかった。対局が始まってものの10分で諦めてしまっていた自分とは違う, 勝負師だった。

 

第3局 金沢大学

 私と同じくらいの棋力の方だった。仕掛けるならここだろうという局面で踏み込み, 主導権は握ったものの, うまく粘られて少しずつ差を縮められた。終盤で相手の方が受け間違えてなんとか勝つことができた。一軍戦で初めての勝利だった。少しだけだが, 自信が付いた。三年前の王座戦で何もできないまま終わった時よりは成長できたのかもな, と思った。そういえばその時も金沢大学さんとの対局だった。

 

26(土)

この日は午後からの対局だった。

第4局 東北大学

 初日の東京大学さんとの対局と同じように端歩の一手を咎められた。前日の夜から当日の昼にかけて見返していた戦型でのことだった。自分は一体, 何をしに来たんだと思った。自分自身に苛立つと同時に呆れた。そんなだからずっとその程度なんだろ, などと自嘲していた。そして対局相手の方は途轍もなく強かった。粘る暇も嫌味を付ける余裕も与えられず, すっきりと押し切られた。

 

後編へ続く