ども、業務スーパーのトルティーヤがコスパ良しで大好きな岡田達也です。
昨日のつづき
*
キャラメルボックスの芝居に『ブリザード・ミュージック』という演目がある。
その劇中
登場人物のミハルさん(この芝居のヒロイン)が、
劇中劇を演じる役者たちに向かって言い放つセリフがある。
「あなたたちにはわかってないのよ。知らない人の前で演技するのが、どんなに恥ずかしいか。あなたたちには快感でもね、普通の人には裸になるぐらいイヤなことなのよ。だってそうでしょう? うれしくもないのに笑ったり、悲しくもないのに泣いたり、そんなの全部ウソじゃない。ウソをついているところを見られるのが快感なんて、異常よ。役者はみんな異常なのよ。ううん、異常なんてもんじゃない。あんたたち全員、変態よ!」
ここに書かれているセリフの面白さよ
実にすばらしい
成井さんの書いたセリフの中でもとても秀逸なものだと思う
(……おまえ、どこから目線なんだ?)
ただし、
ひとこと言わせてもらうなら
私は見られることが快感だと思ったことは一度もない
一度たりともない
なんなら苦痛と言っていい
(少なくとも私の話です)
私は、舞台に立つにあたって、とても厳しく育てられた。
(もちろん、私だけじゃありません)
舞台が楽しいと思えないのはまちがいなくその影響だろう。
それがすごく歪んだ精神状態だということも理解している。
でも、それでいい
それでいいと言うか、
もう治らないし、治すつもりもない。
見られることが快感なんて思える日は一生涯来ないことを知ってる。
ところが
そのはけ口が、こんな意外なところに、あった。
「俺、この短時間に、セリフと動作を完璧に覚えて、演じられるぞ!」
「見るがいい、本気を出した岡田達也を!」
*
救急隊員の方に止められた。
「あ、ありがとうございます」
「……」
「良かったと思います」
「ありがとうございます」
「強いて言えばーー」
「なんでしょう?」
「胸骨圧迫のとき、若干速かったような……。もしかすると120回を超えるペースだったかもしれません」
「了解いたしました。メトロノームのアプリをダウンロードして、テンポ感をおさらいしておきます」
「は、はい……」
「他は何かありますでしょうか?」
「いや、良かったと思います」
「ありがとうございます」
私は、席に戻った。
ドン引きのとき特有の、ありったけの痛い視線を、全身に感じながら
たぶん、あの場にいた人の多くは思ったはずだ。
「なんだこいつ?」
「やる気満々で気持ち悪いなぁ」
「「俺はできる」って自慢したいのかよ?」と。
ちがうんだ
そういうわけじゃないんだ
役者の悲しい性なんだ
無事に修了証をいただきました。
この力が役に立たないことを願いつつ働きたいと思います。
最後に一言
本気出すなら舞台上で出せよ……
では、また。