ども、生春巻きはキュウリ抜きで食す岡田達也です。
1年ほど前のこと
近所の土手を歩いていたら、柴犬が散歩の途中で座り込んでいた。
私は柴犬に目がない。
ついフラフラと近寄って行って、飼い主さんに声をかけてしまった。
「かわいいですね~!」
「ありがとうございます。でもね、疲れちゃったみたいで座り込んでしまって……」
「お名前は何ていうんですか?」
「カズって言います」
「カズくんか!」
私はカズくんをなでなでした。
カズくんは尻尾を振り振りした。
実際に触ってみると、カズくんは遠目で見るよりもぽっちゃりしていた。
思わず口にしていた。
「あれ? カズくん、ちょっと太いな」
飼い主さんが悲痛な声を上げた。
「そうなのよ~! 最近太っちゃって!」
断っておくが、私に悪気はなかった。
だが……
よくよく考えてみれば、人様の飼い犬を捕まえて「ちょっと太いな」なんて言ってはいけない
「しまったな」そう思いながら立ち上がって
「じゃ、またね」とカズくんに声をかけて歩き出した。
と、
カズくんは立ち上がって私に付いてきた。
飼い主さんは驚いた声を上げた。
「あら~、さっきまで動かなかったのに!」
このエピソードからもわかる通り
‟私は柴犬に人気がある”
そう信じて疑わなかった。
*
昨日
鳥取砂丘に来ていた柴犬が、足洗い場で横たわっていた。
砂の上を歩き回って疲れたのだろう。
本当に「こてん」という表現がぴったりの、見事な横たわり方だった。
そのあまりの可愛さに、思わず近寄って行って飼い主さんに声をかけた。
「こんにちは~」
と、
それまで横たわっていたワンちゃんが
ムくッと立ち上がり
私に向かって敵意をむき出しにして吠えた。
「ワン!」
いやいやいや……汗
まてまてまて……汗
敵じゃないよ……汗
俺、こう見えて柴犬に人気があるんだよ
心を落ち着けてもう一度飼い主さんに声をかけた。
「こんにちは~」
「ワンワンワンっ!」
私にはわんちゃんの言葉の意味がわかった。
「こぉらぁあ~~~!! なにを話しかけとんじゃボケぇ!!!」
「まってまって! 友達だよ~!」
「ワンワンワンワンワンワンっ!」
「仲良くなろうよ!」
「ワンワンワンワンワンワンワンワンワンワンワンワンっ!」
「敵じゃないんだ! 信じてくれ!」
「ワンワンワンワンワンワンワンワンワンワンワンワンワンワンワンワンワンワンっ「ワンワンワンワンワンワンっ!」
「俺の目を見てくれ!」
「ワンっ!」
本音を言えば粘り強く頑張って仲良くなりたかったけど、仕事もあるので諦めた。
そこまで笑って眺めていた飼い主さんが言った。
「ごめんなさい、この子、男の人が嫌いなの(笑)」
「……」
*
‟柴犬に人気がある”
‟自分は犬好きだからきっと犬からも好かれる”
私は56年も生きてきて、いまだにこんな勘違いを犯してしまっている。
ほら、人間の世界だってそうじゃないか?
自分が好きだからと言って、相手から好かれる保証はどこにもない
それにしても
男の人が嫌いって柴犬、初めて会った
いや、まてよ
本当にそうなんだろうか?
ひょっとしてあのわんちゃん、
俺の人間性を見抜いていたのかもしれないぞ
……
……
昨日、軽くショックだった出来事。
では、また。
追伸
オンライントークショー東京砂漠
次回は7月4日(木)19時30分スタートです!
西川浩幸先輩の還暦祝いです!