ども、献立表を考えている岡田達也です。

 

 

 

 

明後日25日から数日間

 

キャラメルボックスOB・今井義博氏が我が家にやってくる。

 

 

 *

 

 

彼が初めて鳥取に遊びに来てくれたのは、もう20年以上前のこと。

 

父・隆夫さん、母・秀子さん、

 

二人ともが今井くんのファンとなり、それから何度か遊びにきてもらっている。

 

 

さすが劇団内で「今井はインタビュー詐欺をはたらいている」と噂され、

 

演出の成井さんに「今井には控えめな明るさがある」と言わしめた男だ。

 

うちの両親なんてイチコロだった。

 

 

とくに隆夫さんは、将棋が指せる今井くんに夢中になった。

 

彼が鳥取に来ると、夕食後は決まって『岡田家名人戦 七番勝負』が行われるのが恒例となった。

 

僕は将棋が指せないのでわからないけど、実力はかなり拮抗していて、やや隆夫さんの方に分があるらしい。

 

それくらいがちょうどいい塩梅なのだろう。

 

 

今井くんが来るたびに、隆夫さんは下々の者である私に言う。

 

「ようけ食べさせてあげてな!」

 

「おいしいものだけを食べさせてあげてな!」

 

「今井くんの好きな日本酒を買っておかないけんな!」

 

「今井くんにお金は出させたらいけんで!」

 

私はいつも殺意を押し殺……

 

にっこり微笑んで、その指示に従ってきた。

 

 

 *

 

 

昨年8月

 

隆夫さんがコロナに感染し重症化した。

 

父の死を覚悟した僕は

 

「亡くなる前に会わせておくべき人物はいるだろうか?」

 

と考えた。

 

けっして大袈裟ではない。

 

本当にそういう状態だったのだ。

 

そこで浮かんだのは、親族でも、兄妹でも、パチンコ屋の店員でもなく、今井くんの顔だった。

 

“これが最後の親孝行だな”

 

そう考え、今井くんに見舞いがてら鳥取に来てもらった。

 

実際今井くんと会ったときには、ずいぶん容体は落ち着いていたけど、

 

それでも病院のベッドから起き上がれないときもあって、横になったまま面会した日もある。

 

 

「次会ったらなぁ、必ず一局指そう!」

 

横たわったままそう今井くんに声をかける隆夫さんを見て、

 

「本当に退院できたら、申し訳ないけど今井くんにもう一度鳥取に来てもらって、将棋を指してもらおう」

 

「これが本当に最後の親孝行だ」

 

と考えた。

 

 

 *

 

 

彼の訪問予定を伝えると

 

「そうか、今井くんが来るんか!」

 

実に嬉しそうな顔をしていた。

 

 

殿様に命令される前に年金を下ろしておこう。

 

そして食材を買いに行こう。

 

明後日からは腕を振るわねばなるまい。

 

 

これが隆夫さんにとって“生きる活力”に繋がっている可能性もあるので

 

心情的にはちょっと複雑なところもあるが、

 

のちのち後悔しないようできることはやっておきたい。

 

 

ってことで

 

神さま

 

私、がんばってます

 

お願いですからこれ以上隆夫さんの寿命を伸ばさないでくださいね

 

 

 

 

では、また。

 

 

 

 

追伸

 

オンライントークショー『東京砂漠』番外編

 

明日24日18時スタートです!

 

阿部丈二、多田直人、渡邊安理

 

同期イベントの開場時間にお邪魔します!