ども、『日高屋』のそら豆をつまみに飲むのが好きだった岡田達也です。
我が父・隆夫さん(89)は、
現在デイサービスを利用している。
隆夫さんの専属シェフである私は、隆夫さんにリクエストしていた。
「お昼に何を食べたのかメールしてくれ」と。
もちろん、夕食のメニューがお昼と被らないようにするためだ。
なんてよくできてるんだ、自分……
とても有能だぞ……
誰も褒めてくれないから、こうやって自分で自分を褒めるスタイルを貫いている。
さておき
数日前
昼ごはんのメニューがメールで送られてきた。
そして立て続けにもう一通のメールが届いた。
「らいしゆうはいいことが3てんあり、」
ん?
良いこと??
なんだろう???
返信した。
「それは何でしょう?」
「帰宅してから話します」
ずいぶん期待を持たせるじゃないか?
隆夫さんにとってよほど楽しみなことなんだろうなぁ
帰宅してから「それで良いことって何?」と尋ねた。
「もうすぐ実習生が来て、二週間ほどお父さんにくっついてまわるだって!」
「ははぁん、なるほどねぇ」
「勉強のためになぁ!」
「イジメちゃダメだよ」
「いじめんわよ~! グフェフェフェフェ(笑)」
「……」
「それからな、〇〇さん(デイの利用者)がニコッと話しかけてくれた!」
「それはよかったね」
「あぁ、いい笑顔でなぁ!」
「それはうれしいね~。で、もう一つは?」
「もうすぐデイにカラオケが入るだって!」
「なるほど、カラオケか」
「あぁ」
「それはいいね、声を出すのは健康につながるから。いいと思うよ」
と、
ここで突然、隆夫さんに天邪鬼スイッチが入ってしまった。
僕が「いいと思う」と言ってしまったから、反対のことが言いたくなったのだろう。
面倒くさいことこの上ない。
「でもなぁ~、歌う人はおらんだろうし」
「それはわからないよ」
「いや、おらん!」
「だったらお父さんが独占して歌えばいいじゃない?」
「そんなことはできんわよ~!」
「じゃ、みんなを誘って歌えばいいって」
「それに、カラオケの置き場もないし」
「そこはなんとかなるんじゃないの?」
「だったらどこに置くだいな、あんな狭いとこ!」
「……いやいや、俺、正確な間取りを覚えてないし」
「それになぁ」
「まだ何かあるの?」
「大きい声で歌われても迷惑だが!」
「それが健康法だって」
「い~や、迷惑だ!」
「……」
「カラオケなんかやめときゃいいのに!」
「……」
「カラオケはいらんなぁ!」
*
昨日の夜
歌の話になった。
デイでは毎日、みんなで歌っている曲があるらしい。
今月のテーマ曲は「茶摘み」だ。
「6月になったら、何の曲になるんだろうなぁ?」
「あぁ、6月の歌ね。なんだろう?」
「何かあるかいな?」
「ちょっと調べてみるよ」
「たのむわ」
「あったあった、高齢者が歌う6月の歌だって。まずは童謡の『あめふり』」
「♬あめあめふれふれかあさんが、か?」
「そうそう。それから『雨の慕情』だって」
「八代亜紀か!」
「うん」
「ええなぁ、歌いたいなぁ!」
「なるほど、6月だから雨の歌なんだね」
「あぁ、そうか」
「あとは『雨降りお月さん』ね」
「あぁ、知っとるなぁ」
「それからザ・ピーナッツの『ジューンブライド』」
「それはわからんなぁ」
「俺も知らないわ。あとね『長崎は今日も雨だった』」
「クールファイブか!」
「うん」
「ええなぁ、歌いたいなぁ!」
「うんうん」
「歌いたいなぁ!」
「うんうん」
「八代亜紀もなぁ」
「……うん」
「雨の慕情なぁ!」
「歌いたいですってお願いしてみればいいじゃない?」
「いや、ええ!」
「……」
「ところでカラオケはまだかいな?」
「知りません」
……なぁ
「いらない」って言ったじゃね~かよ
「迷惑だ」とも言ってたじゃね~かよ
心底楽しみにしてるじゃね~かよ
早く導入されるといいですな
そうしたら十八番の裕次郎を歌わせてもらってください
では、また。
追伸
オンライントークショー『東京砂漠』番外編
明後日24日(金)18時より
同期イベントの開場時間にお邪魔します。
イベントの本番が始まったら、私が少しだけみなさんとお話しようと思っております。
良かったら遊びにいらしてください!