ども、強くなりたい岡田達也です。




昨日、耳鼻科へ行った。

腰が悪い、頭が悪い、性格が悪い、など

体と心のいたるところに問題がある男だが

実は昔から「耳」にも問題がある。


 *



「中でお待ちください」と言われ、診察室の前室に通された。

 

不思議な作りの耳鼻科で、前室からでも診察の様子が丸見えになる。

 

診察台に座っていたのは

 

30代のお父さんと、

 

お父さんに抱えられた2歳にもならない男の子だった。

 

かわいそうに男の子はずっと泣いている。

 

熱でもあるのかな?

しんどいね

 

でも、もうすぐ終わるだろうからがんばれ

 

ついつい心の中でエールを送っていた。

 

 

と、先生がお父さんに言った。

 

「これは中耳炎になってますね」

 

 

「あぁ……」

 

お父さんではなく、他人の僕が思わず声を漏らして頭を抱えてしまった。

 

 

 *

 


小学2年生のある日

朝起きたらビックリするほど右耳が痛かった。

「耳が痛いよ~ん!」と叫んだ。

即、耳鼻科に連れて行かれた。

「中耳炎」と診察された。

「中耳炎って何?」

 

さっぱりわからなかったけどけど、これで小学校が休めるならラッキーかも……

そんなふうに思っていた。


先生が「じゃ、今日は膿を抜くからね」そう言いながら注射器をスタンバイした。

するとーー

看護師さんが、

 

僕の顔(頭)を、

 

しかも二人がかりで、

 

両手で力いっぱい押さえつけてくるではないか!

どこまでもガッチリと

そのあまりのホールド具合に首の骨を折られるのではないか?と思って心配になったほどだ

イヤな予感がした

だが、逃げようがない。

 

 

右耳に注射針が刺さった。

 

「!!!!!」


その後の人生で痛い思いもたくさん経験してきた。

 

だけど、あのときの、膿を抜かれる瞬間の痛みは今でも鮮明に覚えている。

 

50年近く経った今でも忘れられない。

 

 

僕は叫んだ。

 

なんて叫んだのか記憶に無いが、絶叫したと思う。

 

そして身をよじらせて暴れた

 

仕方がない

 

それほど痛かったのだ。

 

だがーー

 

屈強な看護師さん(?)二人のおかげで、

 

いくら身体が暴れようとも、顔の位置は微動だにしなかった。

 

 

こうして、地獄の時間は終わった。

 

私のトラウマになるには十分な経験だった。

 

 

 *

 

 

「じゃ、今から膿を抜きますね」

 

先生がそう言うと、看護師さんが二人、男の子の頭を押さえた。

 

「あぁ、あの時と同じだ……」

 

「そりゃそうだよな」

 

「時代は変わっても痛みは変わらないもんな」

 

「がんばれ、僕ちゃん!」

 

 

僕は名も知らぬ子供に、さらに強いエールを送った。

 

注射されると僕ちゃんは絶叫した。

 

その痛みがわかるから胸が痛んだ。

 

 

いたかったね

 

よくがんばったね

 

でもね、ラッキーなことが一つあるよ

 

おそらく君が大人になっても中耳炎の(この治療の痛みの)記憶は残ってないだろうから

 

おじさんみたいに「中耳炎」って聞くだけで震えるような、そんな弱い男にはならないだろう

 

はやく経験しておいて良かったよ……

 

 

「岡田達也さん」

 

先生に呼ばれて診察台に向かう僕は、訳もなく震えていた。

 

自分でも呆れるほど痛みに弱い男なんです。

 

 

 

 

では、また。

 

 

 

 

追伸

 

オンライントークショー『東京砂漠』番外編

 

5月24日(金)18時スタートです!

 

 

で、ですね

 

19時までの予定になっていますが、その後少しだけラジオトーク的にみなさんとチャットでおしゃべりしようかと思っております。

 

よろしければ遊びにいらしてください!