ども、鳥取砂丘の渋滞に巻き込まれる予定の岡田達也です。




以前に書いた話の後日談だ。


「またあの話を読まされるのかよ」なんて思わないでほしい。

たとえ同じ内容だとしても人の心は常に動いているのだ。

私の気持ちはいつだってアップデートされている。


 *


我が父・隆夫さん(88)が愛用している髭剃りは

『ジレット』の使い捨て。

 

 

 

“使い捨て”

便利なようでいて、どこか寂しさが含まれる印象がある。

私もこの年齢になるまで多くの人に使い捨てにされて生きてきた。
(……おまえ大丈夫か?)


さておきーー

「使い捨て」というのは

「正しくその役目を終えるまで使い、そうしたらすぐに捨てられる」

というような意味だと僕は理解している。


僕も昔は使い捨てではなく、刃を取り換えるタイプのけっこう立派なものを使っていた。

だけど“そこにお金をかけるほど自分の髭は立派ではない”ということを理解してからは、使い捨てを使用するようになった。

そのほうが経済的だし、それで何の不便も感じてない。


さて、

隆夫さん(通称、殿様)も僕と同じく「使い捨て」を使用しているのだが、

それを買ってくるのは下々の者(私)だ。

何度も買いに行くのは面倒なので、常に10本入りを買うようにしている。


ってことはだよ、

普通に考えれば「10回は髭を剃れる」はずだろ?

その計算で間違いなよな?


……なぁ?

誰か??

返事してくれよ???

俺、何かおかしなこと言ってるか?


ところが不思議なことに

殿様が5回風呂に入ると髭剃りが底をつく。


……なんで?

なんでなの?

その減りの早さが気になった私は、殿に尋ねた。


「あのさーー」

「なんだ?」

「髭剃り、ちゃんと使ってる?」

「え?」

「髭剃り」

「使っとるで」

「なんか減りが早くない?」

「あぁ、それな」

「うん」

「1回で2本使っとるけなぁ」

「……は?」

「1回で2本使っとるけなぁ」

「……え?」

「1回で2本使っとるけなぁ」

「どういうこと?」

「だけぇ、右半分剃るので1本、左半分剃るので1本」

「!!!!!」


このセリフを聞いたときの衝撃は忘れられない。

髭剃りを2本使って顔を剃っているだとぅ?

2本だとぅ?

1本で剃れるだろ、普通?

なんだ?

そんなに剛毛なのか??

あんたの髭は砂鉄か?

それともスチールウールか?

それとも左東広之か?

あぁ、わかったぞ!!!

顔の面積がモアイ像ぐらいあるから2本使用しないと剃れないってことだなっ!!!


と、心の中でツッコんではみたものの

 

これを口にしたところで空気が悪くなるだけなので

 

賢明な私はある策を講じた。




つづく