ども、睡眠管理アプリに「あなたはヒグマタイプです」と判断された岡田達也です。

 

 

 

 

我が父・隆夫さん(88)は7人きょうだい。

 

隆夫さんを除いて全員女性。

 

そんな環境で育ったからだろうか?

 

幼少期から岡田家の期待を一身に背負い……

 

と言いつつ、どこか甘やかされて育った隆夫さんは

 

大学受験時に大きな挫折を味わい

 

その後の人生は自分の楽しさだけを追求して生きるようになってしまった。

 

結果、姉妹たちとは疎遠になった。

 

 

そんな中

 

5歳年下の多鶴子さん(83)とだけは腐れ縁のような繋がりで、

 

共に商売をやったり、お金を貸したり借りた、あれをああしたりこうしたりなど、

 

他人にはわからない濃い時間を共有してきた。

 

今でも隆夫さんはときどき「多鶴子はどうしてるんかなぁ?」と、彼女の名前だけは口にする。

 

 

二人は「天敵」であり「ライバル」であり「同士」でもある。

 

そして、この多鶴子さん

 

“愛と毒”でできている。

 

 

 *

 

 

夜、電話が鳴った。

 

画面を見ると多鶴子さんからだった。

 

 

「もしもし」

 

「たつやっ!」

 

「久しぶり」

 

「久しぶり! お兄ちゃん、どう?」

 

「元気元気」

 

「あ、そう……」

 

「うん。入院していたときがウソみたいに元気だよ」

 

「あ、そう……」

 

「脚が弱って車イスで生活しているけど、それ以外は元のままだね」

 

「それは、それは……」

 

「なに?」

 

「心底残念ね」

 

「(笑)」

 

「食欲は?」

 

「あるよ、ある。普通にある。あれだけ食べられれば上等だ」

 

「残念至極ね」

 

「(笑)」

 

「たつや、まずいわよ」

 

「なにが?」

 

「このままだと、確実に100歳越えよ」

 

「勘弁してよ」

 

「私の方が先に逝くわ」

 

「やめてって。長生きしてよ」

 

「いや~、この間、緑内障の手術したでしょ?」

 

「うん」

 

「もう少しハッキリ見えるようになるかと思ったけど、そうでもなくてね」

 

「うん」

 

「歳を取るっていうのはこういうことかと」

 

「まぁねぇ」

 

「他にもあちこちガタが来てるし」

 

「それはみんな同じでしょ?」

 

「体が元気だったら、鳥取に飛んで行って、お兄ちゃんのご飯にアレを盛るんだけど」

 

「アレ?(笑)」

 

「私の体が言うこときかないから、達也に任せるしかないんだけどーー」

 

「(笑)」

 

「あんたを殺人犯に仕立て上げるのは忍びないから、やっぱり私が始末しないととは思ってるのよ」

 

「お気持ちだけで十分(笑)」

 

「こんな体じゃロスにも行けないし」

 

(多鶴子さんは大谷翔平選手の大ファンなのです。「いつの日か私をロスに連れて行け」と頼まれていました)

 

「あっ! そうそう、大谷くん、結婚したね。そのことを聞こうと思ってたのよ。どう?」

 

「どうって。私が結婚できる可能性が無くなったのは残念だけどーー」

 

「可能性があったんだ(笑)」

 

「でもね、あんな素敵な女性と一緒になってくれたのなら言うことなしよ」

 

「うん」

 

「お似合いじゃない?」

 

「そう思うよ」

 

「彼女、人柄の良さが出てるわ」

 

「そうね」

 

「だから幸せになってほしいと思ってる」

 

「だけど、一平ちゃんのこともあって大変だね」

 

「そうなのよ。神さまが大谷くんに試練を与えているとしか思えないわね」

 

「そうだね」

 

「それとねーー」

 

「ん?」

 

「一平くん見てると、お兄ちゃんがダブって見える」

 

「依存症ってこと?」

 

「そう!」

 

「(爆笑)」

 

「まぁ、さすがにもうパチンコも打てないだろうから卒業だろうけど」

 

「そうだね」

 

「とにかく、私の気力と体力が回復したら、実行するから待ってて」

 

「(笑)」

 

 

 *

 

 

なんだかんだ言いながら、お互いに気になる存在らしい。

 

二人とも適度に長生きしてくださいませ。

 

 

 

 

では、また。

 

 

 

 

追伸

 

オンライントークショー『東京砂漠』

 

次回は4月29日 20時30分スタートです!