ども、枝垂桜を見ながら缶ビールを煽った岡田達也です。

 

 

 

 

我が父・隆夫さん(88)には、よく口にするセリフがある。

 

彼のキメ台詞と言っていい。

 

それはーー

 

 

例えば

 

「この書類にサインしておいて」と僕が頼むと

 

「わかった」と返事しておきながら

 

必ず、必ず、必ず、「まだちょっと早いな~」と言う。

 

 

……父上

 

……いったい何が早いのですか???

 

自分の名前を書けばいいだけですよ

 

5秒でできますよ

 

日暮れを待つ必要は無いんですけど

 

 

例えば

 

「〇〇さんから電話があったから折り返してね」と僕が言うと

 

「わかった」と返事しておきながら

 

必ず、必ず、必ず、「まだちょっと早いな~」となる。

 

 

……父上

 

……いったい何が早いのですか???

 

携帯のボタンを押すだけですよ

 

秒でできますよ

 

なんすか?

 

ひょっとして「今は相手がトイレに入っている時間だからやめておこう」みたいにサイコキネシスが使えるんですか?

 

 

例えばーー

 

「今日はええ天気だなぁ。桜を見に行こうかいなぁ」と隆夫さんが言う

 

「あぁ、いいんじゃない」と僕が言う

 

と、

 

必ず、必ず、必ず、「まだちょっと早いな~」となる。

 

 

このように、何をするにも、何をやるにも

 

「まだちょっと早いな~」が飛び出してくる。

 

いつだって生き急いでいる僕からすれば、

 

用事を後回しにするなんて考えられない。

 

だけど隆夫さんの場合

 

自身が興味あること以外はすべて「たいぎい(鳥取弁で面倒くさい)」ので

 

基本的には何もやりたくないのだ。

 

しかし「やる気はありますよ」アピールは大切だから

 

返事だけはしっかりしておいて

 

「まだちょっと早いな~」という言い訳が必ず付く。

 

 

僕にとっては時間の無駄でしかないが……

 

 

 *

 

 

隆夫さんが最近はまっているクロスワードパズルは懸賞付きだ。

 

隆夫さんのやる気を煽るため「懸賞に応募しよう!」と声をかけ続けていた。

 

本人もその気になってくれていた。

 

 

すべての解答が出揃ったので、

 

下々の者(私です)がハガキを用意し、

 

切手を貼り、

 

あとは答えを書けばいいだけにしておいた。

 

 

「じゃ、ここに答えを書いて」

 

そう言ってペンを渡した。

 

「わかった」


隆夫さんはそう言ってペンを受け取った

 

だが次の瞬間

 

「まだちょっと早いな~」

 

と言いながら、すぐさまペンをテーブルの上に置いてしまった。

 

 

「あのさーー」

 

「なんだ?」

 

「このあと出かけるついでに投函したいのね」

 

「あぁ」

 

「今書いてくれると助かるんだけど」

 

「でも、まだちょっと早いで」

 

「……何が?」

 

「えっ?」

 

「何が早いの??」

 

「まぁ、いろいろなぁ」

 

 

嘘も方便だろう

 

 

「あのさ」

 

「なんだ?」

 

「はやく投函した方が、やる気があると思われて、懸賞が当たりやすくなるかもよ」

 

「え?」

 

「うん」

 

「そうか?」

 

「うん」

 

「なら書かんといけんな!」

 

「お願いします」

 

 

 

ひょっとして、

 

老人と子供のコントロールって似た部分があるんですかね?

 

 

 

 

では、また。

 

 

 

 

追伸

 

オンライントークショー『東京砂漠』

 

本日21時30分スタートです!

 

よろしければ遊びに来てください!