ども、まだまだ揚げ物が大好きな岡田達也です。

 

 

 

 

僕が小学生のころの話だ。

 

我が父・隆夫さん(88)は好き嫌いが激しかった。

 

正しくは「好き嫌い」ではなく「食わず嫌い」だけど、それが度を越していた。

 

夕食のテーブルに自分の好きなおかずがない日は決まって

 

「今日は食べる物がないなぁ」と、

 

心底ガッカリしたニュアンスで暴言を吐いていた。

 

 

……父上よ

 

それって、人としてどうなんだ???

 

 

もしも僕の作った食事を見て

 

「今日は食べる物がないなぁ」なんて言いやがったら

 

富士急ハイランドのジェットコースターに縛り付けたまま3周してもらう。

 

間違いなく息絶えるだろう。

 

 

さておき

 

母・秀子さんは温厚な人だったし

 

あまり料理に自信が無い人だったので、

(本人の名誉のために言っておきますが、僕は美味しいと思って食べてました。謙虚過ぎたんだと思われます)

 

隆夫さんに「今日は食べる物がないなぁ」と言われても

 

怒ることも、言い返すこともなく、いつだって淡々と準備をしていた。

 

 

さて、

 

問題はカキフライだ。

 

 

隆夫さんはカキフライが大好きだった。

 

メニューに困ったとき秀子さんはよく

 

「あ、今日はカキフライにしよう!」

 

と言っていた。

 

 

そのセリフを聞くと、幼い僕は心底ガッカリしたものだ。

 

だって、

 

だって、

 

カキフライ、おいしくないんだもん

 

 

……

 

……

 

母上

 

ちがうんですよ

 

母上の料理がまずいと言いたいのではないんです

 

カキフライという食べ物が、当時の僕の味覚では、どうにも苦味しか感じられなかったんです

 

つまりお子様の舌で楽しめるメニューではないというだけで

 

ひょっとすると「カキフライ大好き!」って子供がいるかもしれないけど、そんな子供のほうが珍しいんじゃないですか?

 

実際、僕も高校生の頃には大好きに変化していましたよ

 

「わ~い、今夜はカキフライだ!」って喜んでましたもん

 

でもね、でもですね、

 

あの当時の自分にはカキフライのハードルが高すぎたんです

 

今だから言いますけど、心の中で「今日は食べる物がないなぁ」って思ってました

 

 

母上

 

す、す、すみませんでした!!!

 

どうか許してください!

 

でもね、隆夫さんと違って口には出してませんから!!

 

心の中だけですから!!

 

ひょっとすると多少顔には出ていたかもしれないですけど!!

 

 

 *

 

 

カキフライを食べるたびに、

 

心の中でガッカリしていた自分を思い出して笑ってしまう。

 

今では大好きなメニューの一つ。

 

大人(の味覚)になって良かったです。

 

 

ま、僕の変化は順当だと思いますが、

 

父・隆夫さんが88歳にしてから揚げを食べられるようになったのは、

 

食わず嫌いを克服しただけなので種類がちがいますから。

 

それだけは言っておきます。

 

 

 

 

では、また。