ども、仕事休みをいただいた岡田達也です。

 

 

 

 

今日は大事な日だ。

 

 

8月から入院生活を送っている父・隆夫さん(88)が

 

半年ぶりに我が家に帰宅し、

 

さらに

 

ケアマネージャーさん

 

リハビリ担当のスタッフさん

 

相談員さんなどが勢ぞろいして

 

隆夫さんの退院後の生活動線などを検分する。

 

 

つまり

 

帰宅できたからといって「やれやれ、やっと帰れたわ」というものではなく

 

「ここの段差をどうするか?」

 

「ここに手すりは必要なのか?」

 

「杖はどんなタイプが良いのか?」

 

など、

 

隆夫さんに動いてもらいながら

 

今後起きるかもしれないあらゆる可能性を検討し、

 

潰していかなければならない。

 

 

 *

 

 

昨日の朝、隆夫さんからメールが届いた。

 

 

「おはよう♬
お尋ねします、
父が明日は帽子をかぶります、クローゼットに入っていますかね?」

 

 

父上……

 

予想通りです

 

「帽子がなければ帰宅しない」くらいは言い出すだろうと思ってましたよ

 

だから、以前の外出の際、帽子はそのまま病室に置いておいたんです

 

そのへんは抜かりありませんよ

 

 

「おはようございます!

帽子、入ってると思います。

確認してみてください。

なければ明日持っていきます。」

 

 

「帽子の件
若い看護師さんがみてくれましたがありませんと、ぶっきらぼうに、返答ありとりうくひまもなし、笑笑笑」

 

 

……父上

 

「鳥浮く暇もない」だと、

 

水面に浮かんでる鳥の群れが、

 

何者かによって水中に引きずり込まれているような、

 

そんな恐ろしい印象があります

 

ちょっと怖いです

 

ここは「取り付く島もない」に直しておきましょう

 

さておき

 

帽子、確実にクローゼットの中にあるのですが、別の物を持って行きますね

 

 

そう返信しようと文字を打っていると、もう一通メールが届いた。

 

 

「追伸 髪の毛切るの忘れていました。どうしましょう?」

 

 

……父上

 

花見に出かけるわけではないんです

 

誰も貴方に注目しませんから

 

それに少し前にカットしましたよね?

 

横山のやっさんじゃないんだから、そんなに小まめに切らなくても大丈夫ですよ

 

 

そう返信しようと文字を打っていると、もう一通メールが届いた。

 

 

「まぁ、次回でいいです」

 

 

 *

 

 

今日は大事な日だ。

 

半年ぶりに帰宅する隆夫さんが浮かれるのは仕方がない。

 

せめて自分だけはしっかりして、

 

スタッフさんたちと検分し、今後の生活を考えようと思う。

 

 

 

 

では、また。