ども、一年中ビールが美味しく感じる岡田達也です。

 

 

 

 

私は俳優を生業にしている。

 

 

これまでたくさんの作品に出演させてもらい、そのギャランティで食べてこられたので、間違いなく「生業」あるいは「職業」と言っていい。

 

ただ、今現在は我が父・隆夫さん(88)が、介護医療院にて入院療養中という事情もあり、舞台から遠ざかっている。

 

そのため、鳥取市のとある場所でアルバイトをしているのだけど……。

 

そこには71歳から29歳までの、バラエティに富んだ、様々な人が働いている。

 

この方たち、ひょんなことから僕が“俳優だ”という事実を掴んでしまった。

 

 

 *

 

 

舞台上の岡田達也をご存じの方は、僕が「俳優」と名乗っても違和感無く受け入れてもらえると思う。

 

しかしーー

 

その姿を見たことがない、活動の様子も知らないという人に「実は俳優なんです」なんて言おうものなら大変なことになる。

 

「ええぇ、俳優なんですかっ???」と驚かれ、そこから先は的外れな質問攻めにあう。

 

絶対に。

 

いくら「舞台が専門なんです」と説明しようがダメ。

 

なぜなら、世間一般で言う「俳優」とは「テレビに出て演じている人」だから。

 

それでしかない。

 

その認識で間違いない。

 

 

 *

 

 

昨日の仕事中

 

Kさん(寡黙でいて仕事が早い真面目な方)が、僕の近くにやってきた。

 

「岡田さん!」

 

なんだろう?

 

休憩時間以外はほぼしゃべらないKさんが何の用だ?

 

よほど急を要するのかな?

 

「はい、なんでしょう?」

 

Kさんは真剣な顔で切り出した。

 

「まっちゃんのことなんですけどーー」

 

「……まっちゃん??」

 

「松本人志です」

 

「あぁ、ダウンタウンの。なんだかニュースになってましたね」

 

「えぇ、そうなんです。あれはーー」

 

Kさんは、顔をしかめ、小声になった。

 

「あれは事実ですか?」

 

「……はっ?」

 

「どうなんです?」

 

「……いや、えっと」

 

「僕ね、まっちゃんのファンなんで心配で」

 

「あの~、Kさん」

 

「はい」

 

「僕は俳優ですけど、テレビはほとんど出てません」

 

「はい」

 

「テレビで僕の姿を見たことないですよね?」

 

「そうですね」

 

「仮に僕がテレビで活躍している俳優だとしても、お笑いの世界の方たちと親交があるとは限らないんですよ」

 

「はぁ」

 

「残念ですけど、僕は何も知りません」

 

「そうですか」

 

「えぇ」

 

「岡田さんなら何か知ってるかと思ったんですが……」

 

「……」

 

「そうですか……」

 

「……」

 

「何もわかりませんか……」

 

「すみません」

 

 

 *

 

 

私は俳優を生業にしている。

 

もう少し細かく書くと「舞台俳優」だ。

 

“まだまだ頑張らなければ、私の仕事は理解してもらえないのだな”

 

そう思った出来事。

 

 

 

 

では、また。

 

 

 

 

追伸

 

次回のオンライントークショー『東京砂漠』です。

 

1月20日(土) 19時~

 

 

もしも「参加したいけどよくわからないし」なんてお悩みの方がいらしたら、メッセージ、コメントなどにお困りのことを書いて送ってくださいませ。

 

相談に乗りますので。