ども、柚子入りの天然温泉に浸かってきた岡田達也です。




我が父・隆夫さん(88)は、

現在、介護療院にて入院リハビリ中。


甲状腺機能の低下が見受けられるとのことで、昨日は朝から別の病院へ診察に行ってきた。

もちろん、有能な家来(私のことです)がお供させていただいた。

前日の夜、日本海側は大雪の予報が出ていたけど、どこぞの神さまが僕に味方してくれたのだろう。

幸い、鳥取は積雪するほどではなく、無事、朝8時にお迎えに上がった。
 

殿様(隆夫さんのことです)は、看護師さんに車イスを押され、颯爽と登場してきた。

久しぶりの外出に、上機嫌で、

私が持ってきたブルゾンを羽織って、

見たことない靴下を履いて、、、


見たことのない、靴下?????


 *


一昨日

隆夫さんからおかしなメールが届いていた。


大変申し訳ない
本日食堂でありました、紙っくりの、ボーりんくと、魚釣りをサンタクロースのオジサン釣り
景品靴下1で達也が使用
明日遅れないように用意しておきます、


イマイチ意味がわからなかったのだけど、聡明な読者の方が解読してくださったので、模範解答を載せておきたい。


「紙で作ったボーリングと、魚釣り(の魚)を(サンタにした)サンタクロースのオジサン釣りで、景品に靴下1つもらったから、たっちゃん使っていいよ。」

(ゆっちぃーさん他、読み解いてくださったみなさん、ありがとうございます)


 *


「……ねぇ」

「なんだ?」

「そのボーダーの靴下、どうしたの?」

「ボーラー?」

「いや、ボーラーじゃなくて、ボーダー」

「ポーラ?」

「化粧品じゃなくて。ボーダー!」

「ボーダー?」

「その、縞々の靴下」

「あぁ、これか!」

「うん」

「昨日のクリスマス大会でなぁ、釣り上げただが!」

「何を?」

「2等賞」

「ほほぅ」

「お父さん、釣りは上手いけな」

「そうね」

「で、2等賞が靴下でなぁ」

「うん」

「本当はたっちゃんにあげようと思っただけどーー」

「うん」

「履いちゃった」

「……」

「まぁ、ええが!」

「……」

「ええにしょうや!」

「うん。お父さんが釣り上げたものだしね。私に「寄越せ」という権利は無いですけど。でも、メールには「達也が使用」って書いてあったようなーー」

「今日は久しぶりのシャバだけなぁ!」

「……その言い方、どうなんだろう?」

「新しい靴下の方がええかなぁと思って!」

「……」

「履いただ!」

「どうぞ……」


(以下、登場人物が3人になるので名前が入ります)


隆夫 (看護師さんに向かって)じゃ、いってきま~す!

達也 お父さん、まだだって。福祉タクシーが迎えに来てからだよ

隆夫 あぁ、そうか

看護師さん 診察が終わったら、ゆっくり二人で食事でもしてきてくださいね

隆夫 そうします!

看護師さん 美味しい物、食べてくればいいじゃないですか?

隆夫 コンビニのパンとかなぁ!グフェフェフェフェ(笑)

看護師さん (笑)

達也 ……(こ、これが隆夫ジョークなのだろうか?)

隆夫 焼肉定食とか!

看護師さん (笑)

達也 ……(これも笑うところなのか?)

隆夫 餃子の王将とか!

看護師さん (笑)

達也 ……(看護師さんってえらいなぁ。嫌な顔一つ見せないで)

隆夫 じゃ、いってきま~す!

達也 だかった、まだだって

隆夫 あぁ、そうか

看護師さん (私に向かってこっそりと)好きなものを食べさせてあげてください。滅多にない機会ですし。どうぞ、ゆっくりしてきてくださいね。

達也 お気遣いありがとうございます。

 


 *


もしかするとーー

本当はいろいろと食事制限があるのかもしれない。

 

栄養的な問題とか、咀嚼力の加減とか。

だけど、看護師さんが「なんでもいいですよ」と言ってくださった気遣い、

 

とてもありがたく受け取らせてもらった。

この先、一緒に食事する機会も限られるだろうし。


検査の後、「コンビニのパンでええ」という隆夫さんを、

「せっかくだから一緒に何か食べようよ」と説得し、病院の最上階にある食堂に連れて行った。

隆夫さんは最初「カレーでええ!」と言っていたが、

 

僕が「醤油ラーメンあるよ」と言うと「なら醬油ラーメン!」

 

「味噌ラーメンもあるよ」と言うと「なら味噌ラーメン!」という具合で味噌ラーメンに着地し、僕はカツ丼を頼んだ。


久しぶりに、食事しながらいろんな話をした。

隆夫さんはとても美味しそうに「こんな熱々のラーメン、何ヶ月ぶりだろう!」と喜んで食べ、そして完食した。

カツ丼も、とても美味しかった。

靴下はもらえなかったけど、検査結果も悪くなかったし、良い時間になった。


 *



看護師さん、おかげさまでゆっくりできました。

 

ありがとうございました。

またこんな機会があったら、カレーを食べさせてあげよう。

 

 

 

 

では、また。