ども、昨夜ラグビーワールドカップの試合を観ながら何度も声が出てしまった岡田達也です。

 

 

 

 

 

昨日の日記の続きというか……

 

長くなってしまったので書けなかったエピソードを。

 

 

 *

 

 

現在、入院療養中の父・隆夫さん(88)から

 

以下のメールが届いた。

 

 

おはよう♬
次回
くり-ムコロッケ エビフライ各1完熟バナナ2本ヨウグルトサラダ
髭反り、毛髪カット
以上?
お願いします♬
    父

 

 

文中「完熟バナナ2本」と書いてある。

 

そうか

 

バナナね

 

確かに隆夫さんはバナナが好きだもんな

 

でもなぁ

 

「バナナ2本」という表記でいいんじゃないのか?

 

わざわざ「完熟」と打つなんて……

 

 

入院してから

 

「目が見えんようになってなぁ。一文字打つのに5分かかるようになったけなぁ。メール打つのもしんどい」

 

と、ブツブツ文句を言ってるそんな男が

 

「完熟」の文字だけは死守したのだ。

 

 

これは僕の甘さだがーー

 

そこには

 

“隆夫さんの非常に強い拘りがあった”

 

と捉えるべきだった。

 

 

あまり書いたことが無いけど

 

実は私、バナナが苦手だ。

 

食べられなくはないが、自分から好んで食べることはない。

 

ちなみにここ10年は口にしていない。

 

だからというか、バナナの目利きができない。

 

どんなバナナが美味しいのか?

 

まったくわからない。

 

 

近所のスーパーにでかかけ

 

「完熟」の文字は入っていないけど

 

3本入りで

 

(少ない本数でなければ痛んでしまうから)

 

128円という安価なバナナを購入して

 

(食べない私にとって安いことは正義なので)

 

病院へ持って行った。

 

 

父の髪の毛を散髪して

 

「バナナ、食べる?」と尋ねると

 

「半分くれ」というので

 

袋から取り出し、皮をむいて渡した。

 

 

隆夫さんは二口ほど食べたところでこう言った。

 

「このバナナはーー」

 

「?」

 

「うもない(おいしくない)なぁ」

 

「……」

 

「それに固いわ」

 

「……」

 

「これは完熟じゃないなぁ」

 

「……」

 

「完熟じゃないなぁ」

 

「……」

 

 

隆夫さんが入院患者で良かった。

 

弱っている人には優しくできるから。

 

 

もしもこの会話が

 

自宅で

 

しかも隆夫さんが健康体で行われていたのなら

 

私は

 

バナナを凍らせて

 

彼の額の中心に

 

釘を打ち込んでいたかもしれない。

 

 

 

 

仕方がないので

 

次のお見舞いは

 

「完熟バナナ」を探してから行こうと思う。

 

 

 

 

 

では、また。