ども、セリフがこぼれ落ちそうな岡田達也です。

 

 

 

 

 

ラグビーワールドカップが開幕した。

 

チリ戦のナイスゲームに

 

ことのほかハイボールがうまく感じられた。

 

(……おまえにとって酒がマズい日があるのか?)

 

 

ラグビーを観るたびに思う。

 

「あの鍛え上げられた体はどうやって作るのだ?」と。

 

それから

 

「あの体が自分に向かって突進してくるのは怖くないのだろうか?」

 

「あんなタックルくらったら、交通事故と同じくらいの衝撃なんじゃないのか?」

 

「なんで生きてられるんだ?」と。

 

 

そう思わされるほど逞しい男たち。

 

その躍動する姿に魅了される。

 

 

 *

 

 

恥ずかしながらーー

 

デビュー作の『四月になれば彼女は』

 

そして『水平線の歩き方』というお芝居(初演、再演、再々演)で

 

僕はラガーマンを演じている。

 

ラグビー選手に縁があると言っていい。

 

 

もしも僕がロバート・デ・ニーロだったら

 

ラガーマンの役を与えられた瞬間から

 

全力で役作りに取り組み

 

リーチ・マイケル選手のような鋼の肉体を手に入れていたはずだ。

 

 

しかし

 

残念なことに僕はデ・ニーロではない。

 

(当たり前だ)

 

ジムに通ってパンプアップすることもなく

 

ひたすら台本と格闘するだけの男だった。

 

175センチで60数キロのラガーマンなどどこにもいない。

 

 

『水平線の歩き方』のときのこと。

 

衣装合わせ(フィッテイング)が行われた。

 

衣裳を着た僕の姿を

 

プランナーを中心に

 

衣裳部さんたち数人が遠巻きに眺めながら

 

なにやら呟いていた。

 

 

「……ない……ね」

 

「そう……すね」

 

「おおき……ないと」

 

「うすす……ますね」

 

 

なんだ、なんだ?

 

みんな何を呟いているんだ??

 

俺は値踏みされている牛か???

 

 

衣裳部チーフだった中村恵子さんが

 

演出の成井さんに言った。

 

「岡田達也に肉を付けて大きくします」

 

 

これ、おわかりだろうか?

 

けっして私のぜい肉を増やしてやろうという意味じゃない。

 

体を大きく見せるために

 

衣裳の下に仕込むパッドのことを

 

「肉」あるいは「あんこ」などと呼ぶ。

 

それを取り付けるというのだ。

 

 

そして数日後

 

Tシャツに何重ものパッドが縫い合わされた

 

特別なインナーが完成した。

 

私の記憶が確かならば

 

そのインナーのことを「ガンダム」と呼んでいた。

 

その「ガンダム」のおかげで

 

私の大胸筋、僧帽筋、広背筋、三角筋は

 

何の努力もしないままパンプアップされた。

 

 

女性は「寄せて上げて胸を大きく見せる」と聞く。

 

私は「貼って、重ねて、縫い合わせて」胸を大きく見せた。

 

衣裳部のみなさん

 

ありがとうございました。

 

 

 *

 

 

これからも熱戦が続くだろう。

 

僕のような紛い物とはちがう

 

本物の男たちの闘いを楽しみにしている。

 

頑張れニッポン!

 

 

 

 

 

では、また。