ども、たぶん55歳の岡田達也です。

 

 

 

 

 

我が町内会で「福祉委員」に任命されている。

 

2年連続だ。

 

昨年は違う方が担当するはずだったのだけど

 

その方がご高齢のため職務を全うするのが難しいとのことで

 

本来なら今年担当する予定だった私が前倒しでやらせていただいた。

 

で、今年もこの仕事を請け負っている。

 

 

福祉委員の大きな仕事の一つに

 

敬老の日に行われる「敬老祭」の仕切りと

 

記念品を配布する、というものがある。

 

今年もその季節がやってきた。

 

 

お祭りはコロナの関係で中止。

 

記念品の方はいつも通り

 

町内の、75歳以上の方に、

 

社会福祉協議会からと、町内会から、

 

それぞれの記念品を配る。

 

 

町内会だけで100世帯以上あるのだ。

 

その準備だけでもかなりの労力を要する。

 

預かった資料を基に、入念に準備していおいた。

 

 

昨日から配り始めた。

 

 

山本さん(仮名)のお宅にてーー

 

チャイムを鳴らした。

 

「は~い」

 

奥さまが出ていらした。

 

「福祉委員の岡田と申します」

 

「……はぁ」

 

怪訝そうな顔をされた。

 

そりゃそうだろう。

 

郵便局員や、宅配便や、水道局の制服を着ていればともかく

 

Tシャツ、短パン姿の、見知らぬ男が玄関に立っているのだ。

 

怪しさいっぱいと言っていい。

 

詐欺師を疑ってかかることをおススメする。

 

「今年も敬老祭の季節がやってっきまして。コロナの関係で祭り自体は中止になったんですが、記念品だけは例年通りに配布させていただいております」

 

「……敬老祭?」

 

あれ?

 

この反応は……

 

ひょっとして敬老祭を知らないのだろうか???

 

去年は貰っていないということか?

 

手元の資料を見てみた。

 

あぁ、なるほど

 

今年、75歳を迎えられたので初めてのことなんだ……

 

「えぇ。町内の75歳以上の方に記念品をお配りしています」

 

「75歳?」

 

「はい」

 

「私、74歳だけど」

 

「……」

 

「……」

 

「え~っと、私が頂いた資料を見ると、すでに75歳、あるいは今年75歳を迎えられるのではないかとーー」

 

「えっ!? 私、75歳になるの?」

 

申し訳ないっす……

 

私にはわかりません

 

「おそらくですが」

 

「えっ、待って待って! 74で合ってる? 73ってことは無い?」

 

申し訳ないっす……

 

僕は警察でも、探偵でも、国税調査官でも、あなたの親でもないのでわかんないっす

 

「いや~、ひょっとしたら勘違いされていらっしゃるのか、あるいは資料が間違っているのかわかりませんがーー」

 

「……」

 

「……」

 

「あぁ、あぁ! そうだわ、75になる歳だったわ!」

 

よかったです

 

まぁ、お気持ちはわかりますよ

 

長いこと生きてると自分が何歳かわからなくなることってありますよね

 

僕も書類を記入するとき「あれ? 今いくつだっけ?」ってことありましたもん

 

「……そうでしたか」

 

「えぇ、なんかもらえるの?」

 

「おせんべいと、商品券です」

 

「わー、75歳になってよかった!」

 

 

 *

 

 

福祉委員の仕事も大変だ。

 

でも、今年で最後のはずなので

 

今日もがんばって配ろう。

 

 

ちなみにーー

 

我が父・隆夫さん(88)はいつも

 

「商品券はえぇ(要らない)」というので

 

毎年、生活費の足しにさせてもらっている。

 

もちろん、今年もそうしようと思う。

 

これ、強奪でも略奪でもありませんからね。

 

同意の上でのことです。

 

念のため。

 

 

 

 

 

では、また。