ども、『やよい軒』の出汁茶漬けが大好きな岡田達也です。

 

 

 

 

 

本日、稽古最終日。

 

 

 *

 

 

最近の教育現場では

 

「欠点を指摘し正す」よりも

 

「長所を伸ばす」という傾向にあるそうだ。

 

 

それ自体は素晴らしいことだと思う。

 

誰だって嫌なことを言われるより

 

褒められたほうが嬉しいだろうし。

 

 

そもそも今のご時世

 

「正す」という行為自体が

 

ハラスメントに抵触する可能性を含むから

 

厳しい発言は避けられる傾向にあると聞く。

 

(教育現場に携わる方、ご苦労様です)

 

 

ただし

 

「褒められたからもっと頑張ろう」となれば良いけど

 

人はそれほど強くない。

 

中には、褒められることによって向上心を失う人もいる。

 

 

それから

 

教育の現場ならいざ知らず

 

例えば

 

プロスポーツや、伝統芸能の世界では

 

(当然、演劇も含みます)

 

できていないことを指摘する必要がある。

 

絶対にある。

 

 

「何ができていないのか?」

 

「何が足りていないのか?」

 

「上手くなるにはどうすれば?」

 

それを理解できなければ当人の未来がないと言っていい。

 

確かにそこの伝え方を誤るとパワハラになってしまうけど

 

逆に

 

わかる人が指摘してあげないのは、それはそれで不幸なことだ。

 

 

僕が劇団に入団した当時

 

できていないことだらけで

 

(できていることは皆無だったと言っていい。そりゃそうだ、芝居なんて未経験だったんだから)

 

演出家からも、先輩たちからも、厳しい言葉を頂戴した。

 

 

デビュー前のある日

 

初めて代役で稽古場に立ってセリフをしゃべったあと

 

それを見ていた客演の方に呼ばれて

 

「岡田くん、役者やめたほうがいいって誰にも言われないの?」

 

と真顔で言われた経験を持つ。

 

それはイジメでも、ハラスメントでもなく、

 

役者としての可能性があまりにもなさすぎる僕を見て

 

早くやめさせた方がこの子のためだ、という優しさゆえの発言だった。

 

その方の真意は痛いほどわかる。

 

 

 *

 

 

「僕、褒められて伸びるんです」と言いたがる若者たちよ

 

それを口にするくらいなら

 

言う前に褒められるようにがんばりなさい。

 

 

「役者をやめた方がいい」と言われた僕が

 

30年以上この世界にいられたのは

 

けっして偶然や幸運だけじゃないし

 

褒められたからじゃないよ。

 

それだけは言っておく。

 

 

ついでに

 

身内の「良くなった」「面白くなってる」という言葉は

 

多少の自信にしてもいいけど、過信してはダメ。

 

疑って、疑って、疑っていきなさい。

 

 

伸びしろを伸ばすも失くすもあなた次第なんだから。

 

 

 

 

 

では、また。