ども、柴犬の巻尾を長時間見ていても飽きない岡田達也です。

 

 

 

 

 

稽古が始まって数日経ち

 

役者たちの席もなんとなく決まってきた。

 

 

みなさん、出番以外のときは

 

自分の席に座って台本を開いたり

 

共演者の芝居を見たり

 

瞑想にふけったり

 

晩ごはんのメニューを考えたり

 

(……それはおまえだけだ)

 

良い子にして座っている。

 

 

今、「良い子」と書いたが

 

稽古場で自分の席に座ってジッとしているなんて

 

ごく普通の、常識を備えた、大人の振る舞いだと思う。

 

 

そんな中ーー

 

僕一人だけは

 

自分の席にジッと座っていることができなくて

 

稽古場の中をウロウロしては

 

非常識をまき散らしている。

 

 

理由は二つ。

 

まず

 

小学1年生のときから6年間

 

通知表に書かれ続けた「落ち着きのなさ」。

 

もう、これは、

 

まちがいなく多動症の表れで

 

とにかくジッとしていられない体質なのだ。

 

止まると死んでしまうマグロと一緒だと思ってもらっていい。

 

おそらくだけど

 

座禅を組んで修行などしようものなら

 

そのまま即身仏になってしまう可能性が高い。

 

なので

 

僕は生涯、座禅を体験することはない

 

……と、ここに断言しておく。

 

 

次に

 

これが大問題なのだけど

 

パイプ椅子に長い時間座っていられないのだ。

 

とにかくお尻が痛い

 

痛い、痛い、痛い

 

なんだろう?

 

尾てい骨が人より尖っているのか?

 

もしくは、尾てい骨が成長していてそのうち尻尾が生えるのか?

 

原因はわからないが

 

お尻の痛みに耐えかねて、ついつい立ち上がってしまう。

 

そしてお尻をさすっている。

 

 

そんな僕の様子に気付いた

 

アンサンブルキャストの男の子が声をかけてくれた。

 

「岡田さん、家からクッション持ってきましょうか?」

 

「え?」

 

「我が家にGゼロクッションがあるんですけど、あれ、かなりイイですよ」

 

「あの、蜂の巣みたいなやつだよね?」

 

「そうです、そうです」

 

 

……なんて良い子なんだ

 

他人のお尻の痛みに気を遣ってくれるなんて……

 

 

ここで、普通なら遠慮するのが常識的な大人だろう。

 

しかし

 

こちとら陸の孤島・鳥取から出稼ぎに来ている身だ。

 

今の我が家には、最低限必要なジャージと下着しかない。

 

東京でクッションを購入したら、帰りの荷物が増えてしまう。

 

ここは非常識発動の場面じゃないか?

 

 

「でも、自分が使ってるやつでしょ?」

 

「二つあるんで」

 

「ホントに甘えて良いの?」

 

「はい! 是非使ってください!」


「ありがとう!」

 

 

非常識な大人とはこういう人間のことを指す。

 

大丈夫だ

 

その自覚は大いにあるので安心してほしい。

 

 

今日からお尻の痛みは軽減されるだろう。

 

しかしーー

 

だからと言って

 

ジッと座ってる可能性は限りなく低いと断言しておこう。

 

 

 

これはウロウロしてるのではなく

 

ちゃんと芝居をしてるところです。

 

 

 

 

 

では、また。