ども、40本のホームランは打てないけど40本のししゃもを食べる自信はある岡田達也です。
昨日の日記で
「演出家にダメ出しされなくても、自分自身で必要なことを考えよう」
「それが役者の大事な仕事」
みたいな話を書いた。
とはいえ
起きている時間の大半を
「昼は何を食べよう?」
「夜は何を食べよう?」
「一食たりともハズレを引いてなるものか!」
に費やしている男の言うことだ。
説得力は薄いかもしれない。
が、昨日書いたことは嘘じゃない。
たまにはオオカミ少年の言うことも信じてほしい。
(……少年じゃなくて中年じゃないのか?)
*
「ダメだし」と書いた。
この言葉
演劇界では
“演出家から役者へ、指摘、修正の注文”
という意味で使われている。
が、
字面だけを読むと「ダメな部分を出す」になっている。
当然、そこには否定的なイメージが湧きやすく
ハラスメントに引っ掛かる可能性も含んでおり
現代ではこの言葉も避けられる傾向にある。
事実
最近では「ダメ出し」の代わりに
「チェック」「ノート」「修正」「反省会」
などの言葉が使われるようになってきた。
なんだけど
僕はこの世界に入って30年ちょっと
ダメ出しという言葉だけでやり取りしてきてしまったので
骨の髄まで沁みついていて今でもこうして使ってしまう。
*
多くの演出家の方に
数えきれないダメ出しをもらってきた。
中には
笑えるものもあれば
稽古場に穴を掘って入りたくなるようなものもあった。
その場で消えてなくなりたいと思ったことも多々ある。
正直に言うと「この人とは二度とやりたくない」と思ったことさえある。
若いころは、その未熟さゆえ
言われている内容が理解できないこともあったけど
「ちょっと言われてることがわかりません」なんて言おうものなら
稽古場が大爆発するのは目に見えているので
とりあえず「はいっ!」と元気に返事だけして
その場をやり過ごしたことも数知れず。
*
いや、
別に「ダメ出し」という言葉の是非を問いたいわけではない。
若いころはダメ出しされるのがイヤで
なんとかそれをクリアすることに必死になっていた。
キャリアを積むごとに
だんだんダメ出しの先にあるものが理解できるようになってきた。
もう少しすると
演出家のダメ出しを聞いてるだけで
(自分だけではなく、別の役者さんへの言葉も含め)
その人の求める芝居が早く掴めるようになってきた。
「ダメ出し」は
けっして人間性の否定だけに使われてきたわけではなく
作品の完成度を上げるための言葉でもあったし
間違いなく僕はその言葉(厳しいものも含め)で育ててもらった。
僕にとっては
その言葉が「チェック」や「ノート」にすり替わっても
もはやそんなに意味は無い。
演出家の芯の部分にハラスメントが含まれていれば
どんな言葉だろうが結局は同じことだ。
*
ってことでようやく昨日の続き。
若い俳優さん
俳優を志す若者たちよ
もうこれから先は
そんなにひどい言葉や罵声は浴びせられないはずだ。
だからこそ「ダメ出し」だろうが「チェック」だろうが
言葉はなんでもいいから、演出家の言葉を聞き逃すな。
自分へ向けられたものだけじゃなくて
他の役者さんへの言葉も聞いておきなさい。
「なぜ、今、自分は(彼や彼女は)これを言われてるんだろう?」
そこに着目できるようになれば
おのずと「考える作業」に繋がっていくから。
*
まずい……
2日も続けて芝居の話を書いてしまった。
明日こそは、ししゃもの話にしよう。
では、また。