ども、何年かぶりにお笑いライブを観てきた岡田達也です。

 

 

 

 

 

次回出演する『呪縛の家』

 

 

 

台本データが送られてきた。

 

 

これから稽古開始に向けて

 

少しずつ覚えていかなければならない。

 

 

こう見えてーー

 

若いころはセリフを覚えるのが早かった。

 

(ホントだって)

 

 

ただしそれは

 

“記憶力の良さ”からくるものではなく

 

“早く覚えて台本を離さないと稽古にならない”という

 

実に切羽詰まった悲しい理由によるものだった。

 

 

 *

 

 

演劇には「半立ち稽古」と呼ばれるターンがある。

 

 

主に台本をもらってからの前半の稽古で

 

簡単に説明すると

 

台本を持ちながら、

 

それを読みながら、

 

ゆるゆると動きながら、

 

「このセリフはどういう解釈で、どう表現するのがピッタリくるのか?」を探る。

 

 

それを繰り返すことによって

 

セリフを脳みそに定着させ、

 

動線を確定し、

 

自分(登場人物)の心理状態を把握し、

 

いつでも“そこ”に行けるようにする、

 

……みたいな時間。

 

 

今ならこんなふうに訳知り顔で書けるけど

 

入団して数年間

 

僕には半立ち稽古なんて悠長な時間はなかった。

 

台本をもらって最初の立ち稽古から全力で行ってた。

 

そう、「全力立ち稽古」だ。

 

(ま、そんな言葉はないけどな)

 

 

だって

 

ゆるゆるなんてやってたら息の根が止まるほど怒られたもんだ。

 

それは仕方がない。

 

そんな稽古していたら、僕の芝居だけ初日に間に合わないのは目に見えていたから。

 

(見えていないのは自分だけだったな)

 

 

だいたい

 

自分よりもはるか上を行く先輩たちが

 

みんなみんな最初から全力でやっていたんだから

 

若者は鉄砲玉となって

 

粉砕覚悟で前進しなければ

 

居場所すら作れなかった時代だ。

 

 

今はどんなに頑張っても

 

当時のスピードでは覚えられなくなった。

 

 

……いやいや

 

やる気の問題じゃないって

 

本当だって

 

 

加齢と共に記憶スピードが落ちるのは僕だけじゃない。

 

だから、こればかりは受け入れるしかないし

 

そうなったらそうなったで芝居の作り方を変化させないとダメだと思う。

 

 

そういえばーー

 

台本の読み方も

 

若いころに比べてずいぶん変わった

 

ーーという話を書き始めると長くなるのでまた今度。

 

 

まずは

 

入ってくれない言葉たちをひたすら脳に刻み込むという

 

地獄のような時間を

 

早く終わらせるようにがんばろう。

 

 

 

 

 

では、また。