ども、今日のMリーグドラフト会議が楽しみな岡田達也です。

 

 

 

 

 

昨日に続いて、今日も父親の話だ。

 

 

……すまん

 

申し訳ないとは思ってる。

 

 

「おまえ、舞台俳優だろ? 余計なこと書いてないで演劇論の一つでも書いてみろよ!」

 

という、みなさまの声は聞こえている。

 

(ひょっとして誰も望んでいないですか?)

 

 

だけどね、

 

僕は、俳優である前に、一人の生きてる人間なのですよ。

 

まずは日常をしっかり生きることが大事なんです。

 

(強がるな。書ける演劇論がないんだよな?)

 

 

 *

 

 

昨日、夕食の準備をしていたら

 

父・隆夫さん(88)が声をかけてきた。

 

「今日はなぁ、ご飯、少な目にしてくれ」

 

 

ええっ?!

 

どした、どした??

 

そ、そ、そんなこと言うなんて!

 

一大事じゃないかっ!!!

 

 

いよいよ天に召されるときが来たのだろうか?

 

それとも、梅雨の季節に雪が降る前触れか???

 

 

「どうしたの?」

 

「いや、暑くてなぁ、食欲がないだが」

 

「わかった。今日は玉子丼を作るから、ご飯を盛るときに(量を)確認して」

 

「あぁ」

 

「あと、味噌田楽を出すつもりだったけど、やめておこうか?」

 

「いや! 田楽は食べるで!」

 

「……」

 

 

僕は

 

親子丼よりも玉子丼を好む隆夫さんのために

 

達也汁入り特製玉子丼を準備した。

 

そして

 

いつも使っている茶碗に、ご飯をやや小盛にして、それを隆夫さんに見せた。

 

 

「それでええ」

 

「了解」

 

 

玉子丼を仕上げ

 

温めていたコンニャクに味噌を塗り

 

給仕した。

 

 

 *

 

 

隆夫さんは

 

玉子丼を

 

ムシャムシャムシャ

 

パクパクパクパク

 

 

「……(あれ?)」

 

 

味噌田楽を

 

ムシャムシャムシャ

 

ガツガツガツガツ

 

 

「……(食欲無いんだよね?)」

 

 

「この玉子丼はーー」

 

「?」

 

「おいしいなぁ!」

 

「ありがとうございます」

 

「パチンコ屋の食堂(隆夫さん行きつけの店)の玉子丼も、こんなんだったら食べるのになぁ!」

 

「あぁ」

 

「あそこのはうもない(おいしくない)けなぁ!」

 

「たしかに」

 

 

僕も勉強のため一度だけ食べてみたが

 

玉子丼というより、玉子雑炊みたいな仕上がりで

 

あまり好みじゃなかった。

 

 

「こんなの出せばええのになぁ!」

 

「ありがとうございます」

 

 

言っておくが

 

僕の作る玉子丼が特別おいしいわけじゃない。

 

ただ、隆夫さんの好みがわかっているから

 

味を寄せているだけの話だ。

 

 

隆夫さんは

 

あっという間に完食し

 

こう言った。

 

 

「さっきまで食欲が無いと思っとったけど、治ったわ!」

 

「……」

 

「おなかい~っぱいになった!」

 

「……」

 

「ごちそうさまでした!」

 

 

 *

 

 

私の作る玉子丼が美味しかったってことですよね?

 

私の作る玉子丼が食欲不振を吹き飛ばしたってことですよね?

 

 

ってことはですよーー

 

この人が長生きしているのは

 

私の食事に原因があるってことになりませんか?

 

 

……複雑な気持ちです。

 

 

 

 

 

では、また。