ども、岡田達也です。

 

 

 

 

 

昨日

 

鳥取地方裁判所に行った。

 

 

……ちがう

 

……ちがうって

 

なぜそうやって

 

「ようやく岡田達也が法で裁かれる日が来たらしい」

 

「これで安心して暮らせる」

 

とか思うんだよ?

 

 

「出頭」じゃなくて「自分の意志」で行ったんだ。

 

 

 *

 

 

僕の兄・浩一くんは

 

先天性の知的・身体障がい者で

 

しかも最重度だったりするので

 

いろいろな面において自分で判断できる能力を持っていない。

 

 

母・秀子さんと僕は何度も話し合っていた。

 

浩一くんには判断能力が無いので、遺産に関しては僕が2人分相続し管理する(しなければならない)だろう、と。

 

 

これが、無知な素人の早合点だということが後にわかる。

 

 

 *

 

 

年齢の順番で言えば

 

父・隆夫さんが先に亡くなっておかしくないのに

 

残念ながら秀子さんが先に他界してしまった。

 

 

幸い、血で血を洗うような遺産は残っていなかったけど戸建ての家がある。

 

当然、相続の対象だ。

 

 

事後処理をしているときだった。

 

「それは不可能です」

 

へっ?

 

「お兄様の権利を、兄弟だからといってあなたが勝手に受け取ることはできません」

 

あ、そうなんですか……

 

「お兄様は相続放棄の意思表示が不可能なわけですから」

 

そうです、そうです

 

「この場合、弁護士を雇ってお兄様の後見人になってもらい、身辺調査などを踏まえた上で最良の判断を仰ぐ、という形になります」

 

はぁ

 

「相続放棄となるのか、お兄様に相続されるのか? もちろんケースバイケースではありますが、放棄になるケースは稀です」

 

そういうものなんですか?

 

「えぇ。障がいを持つ方の権利を守るための法律だとご理解ください」

 

なるほど……

 

言われれば納得できるけど、これは知らなかったなぁ

 

秀子さんも知らなかったんだろうな

 

知ってたら必ず教えてくれてるはずだもんな

 

隆夫さんは、

 

知るわけないか……

 

 

「ただし」

 

なんでしょう?

 

「あなたご自身がお兄様の成年後見人に選定されれば、諸々の決定権をあなたが持つことになります」

 

成年後見人???

 

「あなたにもその権利はありますので」

 

 

 *

 

 

恥ずかしながら、この制度すら知らなかった。

 

「本人が決められないんだから、家族が判断するしかないでしょ?」

 

と、勝手に思い込んでいたけど

 

世の中には

 

「家族だから」という大義名分で好き勝手する輩が多く存在するようで

 

ちゃんと法律で守られていることをこのとき初めて知った。

 

 

……うん

 

それはそうだよな

 

法って面倒だけど、よくできてるもんだ……

 

 

 

秀子さんが亡くなって

 

ずいぶん時間が経ってしまったけど

 

ようやく書類も整い

 

(これがまた泣きたくなるほど莫大で、僕の頭では理解不能なものもあったが)

 

あと一歩で申請というところまできた。

 

 

浩一くんのためでもあるし

 

自分自身のためでもあるし

 

なにより

 

秀子さんが一番安心してくれるだろうから

 

まだまだやるべきことはたくさんあるけど

 

もうひと踏ん張りしようと思う。

 

 

 *

 

 

大事なことなのでもう一度書いておくが

 

冒頭を読んで

 

「やっと出頭したか」

 

と思ったあなた

 

大いに反省するように。

 

 

 

 

 

では、また。

 

 

 

追伸

 

質問などございましたら遠慮なく!