ども、炊飯器で作った煮豚が美味しくて満足している岡田達也です。
『俳優座 閉館』という
残念なニュースが聞こえてきた。
何度かこの舞台に立たせてもらった。
あの、
老舗劇団の、
『俳優座』が持っている劇場だぞ？
自分ごときが俳優座で演じるなんて
恐れ多いと思っていたけど
有り難いことにその機会に恵まれた。
たぶん、3本
たぶん、ね
(自信なし……）
ま、そんなうつろな男の昔話だから
眉唾ものだと思って聞いてほしい。
＊
2008年
この俳優座で
『ちいさき神の、つくりし子ら』
という舞台をやらせてもらった。
このお芝居に関しても語りたいことは山ほどあるけど
それはまたの機会に譲るとして
一つだけ……
僕が演じたジェームスという役は
“ろう学校に赴任してきた口話教師”という役どころ。
これが俳優にとってかなり負荷の高い役だった。
自分のセリフに合わせて手話をやり、
さらに
相手役の手話を読み取りながらセリフをしゃべる、という
テクニカルな部分で非常に苦労が多い役。
稽古前に手話のDVDをもらって観たときは
この仕事を受けたことを後悔したものだ。
＊
この芝居の本番中
キャラメルボックスでは
『きみがいた時間 ぼくのいく時間』という芝居の稽古中だった。
僕は『ちいさき神の、つくりし子ら』があったため
なかなか稽古場に顔を出せずにいた。
稽古休みの日
上川隆也先輩が俳優座に観に来てくれた。
終演後
僕の顔を見るなりこう言った。
「よくがんばってるじゃね～か（ニヤリ）」
誤解を恐れずに言うならーー
先輩に、こんなにストレートに褒めてもらえることなど無かった時代だ。
それは、いじめでも、嫌がらせでもなく
どんなに頑張っていようが
「もっとだ、もっと！」という精神で闘ってきた仲間であるからこそ
先輩たちは、誰一人として
安易に褒め言葉を発することなどなかった、という意味合いで。
たかやん先輩と話すときは照れ臭さもあって
どうしても“ボケてツッコんで”という会話が9割を占める中
この「よくがんばってるじゃね～か」という
“めずらしく素直な一言”は
とても嬉しく、励みになった。
ま、その後は細かい感想などなく
「鍛治本が青い顔して代役やってるから、早く帰ってきてやれ」
の一言だったけど。
＊
劇場の数だけ思い出がある。
舞台上、舞台袖、客席、ロビー、楽屋、鏡前、楽屋口、、、
俳優座は無くなってしまうけど
あの劇場で経験したことが無くなるわけじゃない。
あの薄暗い階段の下で言われた一言は
忘れずに覚えておきたい。
俳優座関係者のみなさん
ひとまずお疲れ様でした。
では、また。
追伸
6月24日（土） 11時～やります！
