ども、タッキーといえば秀明じゃなくて和典を思い浮かべる岡田達也です。
今、高校時代の同級生の仕事を手伝っている。
仕事先は鳥取砂丘。
鳥取砂丘だぞ……
日本で一番大きな砂丘だぞ
どれくらい大きいかというと東京ドーム820個ぶんだぞ
(この比喩はピンとこないけどな)
ラクダがいるんだぞ
国立公園に指定されてるんだぞ
なにより、
晴れた日に砂丘から眺める日本海は一見の価値ありなんだぞ
掛け値なしで絶景だぞ。
*
昨日
兵庫県から修学旅行生が来ていた。
元気な中学3年生たち。
その子たちを、とあるアクティビティで遊ばせ終わった後のこと。
足に付いた砂を一生懸命手で払っているショートカットの女の子が話しかけてきた。
「めっちゃ面白かったです!」
「そうだろ?」
「はい! またやりたいです!」
「それは良かった」
「でもねーー」
「?」
「どう思います?」
「なにが?」
彼女はガッカリした表情でこう言った。
「人生初めての海が鳥取って」
「おおおおおぉぉぉぉぉぃぃぃぃぃいいいいい!!!!!」
「(笑)」
「鳥取の人間に向かっていう言葉か?」
「だって~!(笑)」
「だってって言うな! 俺のおばあちゃんの遺言は「だって」を使うなだったんだ!」
「(笑)」
「それに鳥取の海、キレイだったろ?」
「それはそうですけど……」
「じゃ、どこの海だったら良かったんだよ?」
「ハワイ!」
「行けよ! 行ってこいよ! ただし、自分の金でなっ!」
「え~」
「え~って言うな! 俺のおばあちゃんの遺言は「え~」を使うなだったんだ!」
「おばあさん、きびしい(笑)」
「厳しいけど優しい人だったんだぞ」
「ん~、でも、まだ自力でハワイには行けないです」
「だからって親に甘えるなよ」
「はい」
「いつの日か自分でお金貯めて行け」
「はい」
「いいか、よく聞けよ」
「はい」
「俺が中学2年生のとき、修学旅行に行った3年生が、旅行先で傷害事件を起こしてな」
「!」
「で、俺たちの代から3年間、修学旅行は中止になったんだ」
「ホントですか?」
「嘘ついてどうする?」
「えぇ~、かわいそう!」
「だろ?」
「はい」
「それを思えばな、鳥取の海だって価値があるとは思わないか?」
「ん~、そうですね」
「修学旅行に来られたんだから」
「はい」
「「私の海の初体験は鳥取だった」って残念がるんじゃなくて、ちゃんと焼き付けとけよ」
「はい」
「将来、おまえがハワイに行って「やっぱ鳥取の海ってしょぼかったなぁ」って思い出してもいいから」
「はい」
「それでも、15歳で初体験した海の景色を覚えておけよ」
「はい!」
「最後に、これだけは言っておく」
「なんですか?」
「ハワイの海は最高だったぞ」
「行ったことあるんですか?」
「2回な」
「ずるい~!(笑)」
そう答えた彼女はいい笑顔だった。
*
僕も歳を取っている。
現在進行形で加齢している。
でも、それは僕だけじゃなくて、
生きてる人全員が、同じ速度で進行しているはず。
(もちろん、体感速度は人それぞれでまったく違うだろうけど)
15歳の女の子に僕の言葉がどんなふうに届いているのか?
それは今すぐ答えが出るものじゃないのはわかってる。
なんだけど、ちょっと楽しかった。
どうか、彼女の初体験の、鳥取の海が、良い記憶として残りますように。
では、また。
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