ども、楽天よりアマゾンの利用が多い岡田達也です。

 

 

 

 

 

数日前の夜

 

たっぷりと酒を飲んだ。

 

 

……いや、

 

たっぷり飲んでいるのは毎晩のことなんだけど

 

その日はことさらに酔いたかった。

 

酔いたい理由があった。

 

“ネットでとある買い物をするために誰かに背中を押してもらいたかった”のだ。

 

酔った勢いでポチッとしたかった。

 

 

ま、そんなときに酒の力を借りてしまう自分は弱い人間だということくらい重々承知しているのでどうか見逃してほしい。

 

 

 *

 

 

父・隆夫さんは現在87歳。

 

来週中には米寿を迎えてしまう。

 

……間違えた

 

めでたく迎える。

 

 

仕方ないことだけど聴力も悪くなる一方なので、いろいろと苦労が多い。

 

僕との会話も、こちらがかなり大きな声を出さなければ聞き取れなかったりする。

 

僕が舞台人で良かった。

 

日常生活も腹式呼吸で生きているからなんとかなってるけど、

 

もし、僕が、インタビューに答えているときの中森明菜ちゃんくらいの声量で生きていたら、親子の会話は成立していないだろう。

 

 

それからーー

 

テレビのボリュームが上がる一方で、これが同居人には辛い。

 

 

どれくらいデカいかというと

 

「我が家は『東宝シネマ』かっ!?」

 

と、ツッコみたくなるレベルだ。

 

そりゃ映画館で楽しむにはいいだろうけど

 

家のリビングで、ニュースやバラエティー番組を見るときには騒音でしかない。

 

もはや「音の暴力」と言っていい。

 

 

が、

 

これはいつの日か自分も迎える姿なのだ。

 

ただ「ボリューム下げてくれ!」と言うのではなく

 

お互いが納得して共存できるよう

 

譲り合いのラインを探すのが大切だ。

 

 

手元スピーカーは購入した。

 

素晴しい商品ではあったが、

 

手元スピーカーもフルボリュームになれば僕の脳天を直撃するくらいの破壊力がある。

 

 

「補聴器はえぇ!」

 

「高いけなぁ!」

 

「そのくせ小さくてすぐに失くすしなぁ!」

 

と、30万円の補聴器を紛失した経験のある隆夫さんは、補聴器を頑なに拒む。

 

 

代わりに安価な集音器を購入した。

 

これは気に入ってくれた。

 

が、すぐに紛失した。

 

 

2個目を購入した。

 

これまた紛失した。

 

 

3個目を買おうとした。

 

「ええっ、もうええっ! 失くすしなぁ!」

 

と、逆ギレされたが、こちらも必死だったので勝手に購入した。

 

 

ただーー

 

ここで僕は大きなミスを犯した。

 

アマゾンの口コミで「よく聴こえる」という評判を優先して探してしまい、

 

商品の形状にこだわらなかったのだ。

 

 

結果、購入したのがこのような商品だった。

 

 

 

 

 

この「耳掛け式」

 

隆夫さんの耳の形との相性が、

 

抜群に悪かった。

 

 

隆夫さんの耳は「耳輪」の部分が極端に低く

 

耳に掛けようとしても、ずれてしまって装着が安定しない。

 

 

なんとか付けたとしても

 

「メガネを触るとなぁ」

 

「マスクを付けるとなぁ」

 

と、干渉するものが多いとすぐに取れてしまうらしく文句タラタラで、

 

あっという間にお蔵入りとなった。

 

 

あぁ……

 

あぁ……

 

せっかく購入したのにこれもダメなのか……

 

 

どうする?

 

もう諦めるか?

 

それとも隆夫さんの耳に合った新たな集音器を購入するべきか?

 

 

ホロ酔い状態で考え始めた。

 

 

 

 

 

つづく