ども、『CR華観月』が大好きだった岡田達也です。

 

 

 

 

 

数学が苦手だ。

 

ついでに言っておくと

 

国語と、社会と、理科と、英語と、

 

義務教育で教わる科目はすべて苦手だ。

 

 

さておき

 

数学は苦手な男だが

 

パチンコの大当たり確率くらいは理解できる。

 

 

例えばーー

 

「大当たり確率1/319」と表記されていれば319分の1の確率で大当たりが引ける、

 

という仕組みくらいはわかっている。

 

実に単純な理論だ。

 

 

なんだけど

 

人の心は弱い。

 

とても弱い。

 

 

僕を含め、多くの人間は

 

(特に年配の方に多い傾向が見受けられるが)

 

「319分の1ってことは、319回まわせば1回くらいは当たるってことでしょ?」

 

と考えてしまう。

 

 

どハマりして500回くらい大当たりが来ないと

 

大抵の人は頭に血が上る。

 

そして

 

「おいっ! この台、ホントに319分の1なのかよっ! だったらそろそろ当たってもいいはずだろ~がよっ!」

 

というふうに“自分にとって都合が良い方向”に考えてしまう。

 

 

ちがう

 

ちがう

 

そうじゃないんだよ

 

 

毎回、毎回、

 

パチンコ玉が入賞するたびに

 

1/319の抽選が行われているだけであって

 

つまりは

 

「319回まわせば必ず1回は当たる」わけじゃないんだ

 

500回まわしても当たらないときもある

 

1000回まわしたって当たらないときもある

 

その代わり1回転目で当たることだってある

 

それがパチンコなんだよ

 

(お店が不正を働いてる場合を除きます。……ってそんなこと書いて大丈夫なのか?)

 

 

なぁ

 

パチンコで身を削った同志たちよ

 

「パチンコさえやってなければ、俺、今頃ベンツに乗ってるよ」という同志たちよ

 

俺の言ってることは間違ってるかい?

 

 

 *

 

 

一昨日

 

父・隆夫さん(87)がパチンコから帰宅して言った。

 

「今日なぁ、」

 

「なに?」

 

「常連のおばさんがおるだけどなぁ」

 

「うん」

 

「夕方になって「岡田さん、8万円負けました」って、肩を落として、涙をボロボロこぼしながら言ってきてなぁ」

 

「へぇ」

 

「涙を流してなぁ」

 

「そう」

 

「ボロボロ泣きながらなぁ」

 

「ふ~ん」

 

「かわいそうになぁ」

 

「自業自得じゃない?」

 

「……え?」

 

「自分で突っ込んだんだから仕方がないよ」

 

「……」

 

「誰が悪いわけでもない」

 

 

その言い方が冷たく映ったのだろうか?

 

隆夫さんは不服そうに言った。

 

 

「そ、それはそうだけどっ!」

 

「ま、かわいそうだけど、それがパチンコだね」

 

「でもなぁ! 800回以上回しても当たらんかったんだで!」

 

「そんなこともあるだろうね」

 

「かわいそうに!」

 

「かわいそうだね」

 

「ポロポロ泣きながらなぁ!」

 

「泣きたくもなるよね」

 

「8万円だで!」

 

「で、その人になんて言ってあげたの?」

 

「かわいそうで、かわいそうで、かける言葉もなくてなぁ」

 

「だったら「勝つまで突っ込みなさい」って言ってあげれば良かったのに」

 

 

これが完全に神経を逆撫でしたようだ。

 

隆夫さんがハッキリと怒りを明示した。

 

 

「そんな無責任なこと言えんわいな!」

 

 

ここで

 

僕の脳裏に浮かんだ言葉は

 

「ひょっとしてあなたは8万円とかいう甘っちょろいレベルではなく、私に迷惑をかけたことをお忘れですか?」

 

だったけど、これはさすがに口にしなかった。

 

 

『達也汁』の連載が終わっていいなら勝負に出たかもしれないが

 

全国6千万人の『達也汁』読者のためにも我が家を崩壊させるわけにはいかない。

 

(一部、誇大な表現が含まれています)

 

 

 

 

 

つづく