ども、迷ったときはマルゲリータの岡田達也です。

 

 

 

 

 

「私は地位も名誉もない人間だ」

 

「ついでに人望もない」

 

「ついでに信用も信頼もない」

 

「だが、金ならある」

 

「いや、金しかない」

 

「金なら腐るほどある」

 

……人生で一度くらいそんなことを言ってみたい

 

と、思ってはいるが

 

なかなかその域に達することができないでいるただの庶民

 

それが私だ。

 

 

 *

 

 

最近、お気に入りのスパークリングワインがある。

 

『パラシオ デ クリスタル』という品。

 

 

 

これが

 

格安の酒屋でもなく

 

ドン・キホーテでもなく

 

業務スーパーでもなく

 

セブンイレブンで販売されているにもかかわらず

 

税込み600円未満という恐るべき値段。

 

(もちろんフルボトルっす)

 

 

しかも、十分に美味しいのだ。

 

最近では週に1回はこれを購入し

 

ガブガブ飲んでベロベロになっている。

 

 

 *

 

 

昨日

 

仕事の帰り道

 

近所のセブンイレブンに立ち寄った。

 

 

毎週、買っているワインだ。

 

どこに置いてあるかも熟知している。

 

いつもの通り、ボトルを手に取りレジに向かった。

 

 

店員さんが言った。

 

「3,860円です」

 

「!!!!!」

 

 

もしもし?

 

もしもしもし??

 

もしもしもしもし???

 

あなた、大丈夫ですか?

 

 

笑わせないでくださいよ

 

私が、

 

この私が、

 

3,000円オーバーのスパークリングワインを飲むと思いますか?

 

だったらゴールドスターの24缶入りを買いますよ

 

こう見えてただの庶民ですよ?

 

いつからセブンイレブンはぼったくりバーと化したんですか??

 

勘弁してくださいよ

 

何の操作ミスですか?

 

まったく、困った店員さんだ

 

ちょっと注意してさしあげよう……

 

そう思ってボトルを見た。

 

 

……

 

……

 

 

あれ?

 

あれれ??

 

いつも買ってるやつとラベルの色が微妙に違うな……

 

 

ひょ、

 

ひょ、

 

ひょえええええぇぇぇぇぇ!!!!!

 

 

俺、

 

ワインを、

 

取り間違えてるじゃね~かっっっ!!!

 

 

「どうかされましたか?」

 

「い、いや、その……」

 

「?」

 

 

ここでは二択だ。

 

二択しかない。

 

「あ、取り間違えました」と素直に謝るか?

 

何食わぬ顔で買っていくか?

 

 

僕は2秒考えた。

 

「武士は食わねど高楊枝」という言葉がある。

 

「この人、こんな高級なスパークリングワインを呑んでるだ」って羨望の眼差しで見られるかもしれない

 

しかしこの値段を出すならいつも購入しているスパークリングワインが6本買えるぞ

 

だとすれば

 

父・隆夫さん(87)が食べたがっている

 

シャトレーゼの、柏餅や、桜餅や、どら焼きをいくつ買えるんだよ?

 

 

……

 

……

 

 

「すみません、間違えました。これ、キャンセルしてもらってもよいですか?」

 

「はぁ、大丈夫ですけど」

 

「あ、他の物を買いますので!」

 

「……はぁ」

 

「いやいや、こんな高級な物、僕の口には合わないんですよね」

 

「……はぁ」

 

「取り間違えたんです。いつものやつ持ってきます」

 

「……はぁ」

 

 

僕はダッシュで取り換えに行き

 

そして500円ちょっとのパラシオを購入した。

 

店員さんの憐れんだ視線が死ぬほど痛かった。

 

 

 *

 

 

何ごとも

 

慣れたころが要注意だ。

 

買う前にはラベルを確かめるとしよう。

 

 

それと

 

取り繕うとき

 

饒舌になってしまうこの性格

 

なんとかならんもんだろうか?

 

 

 

 

 

では、また。