ども、インナーはコンプレッションを愛用している岡田達也です。

 

 

 

 

 

一昨日の土曜日

 

鳥取の朝は肌寒かった。

 

 

 *

 

 

朝、この日記を書いていると

 

父・隆夫さん(87)が起床してきた。

 

 

起きてくるなり

 

「今日は(パチンコ屋に)出てくるけなぁ!」

 

と、予定通りの宣言をされた。

 

そして

 

「今日は曇りか?」

 

と尋ねてきた。

 

 

「窓から外を見ればわかるでしょうが」

 

と言ってやりたかったが

 

私はそんなに冷たい男ではない。

 

「うん、曇り。ちょこちょこ雨も降るみたい」

 

と正確に伝えた。

 

 

「そうか、曇りか」

 

「うん」

 

「どぉりで肌寒いなぁ」

 

「そうだね、朝はまだちょっと寒いね」

 

 

ここで隆夫さんが

 

いつも愛用している黒いニットを僕に見せながら訊いてきた。

 

「今日は、この格好(これを着るのは)は変か?」

 

 

わりと洒落たニットだし

 

普段もよく着ているじゃないか?

 

おかしなことなど何もない。

 

 

「いや、ちっとも変じゃないよ」

 

「そうか?」

 

「うん」

 

「変じゃないか?」

 

「うん」

 

「おかしくないか?」

 

 

……ん?

 

……何がそんなに気になるんだ??

 

 

「変じゃないし、そもそも、服なんてお父さんが着たいものを着ればいいじゃない?」

 

「いや、それはそうだけど。今日は寒いかなぁ、と思ってなぁ」

 

「だから、暑い寒いは人によって違うんだから。朝起きて、窓開けるなりして、お父さんの体感で着る物を決めればいいよ」

 

「そうか」

 

「うん」

 

それで会話は終わったと思っていた。

 

 

2分後ーー

 

「さっきのなぁ、たっちゃんが言った体感の話だけどなぁ」

 

「なに?」

 

「お父さんの体感が間違っとるかもしれんが?」

 

「……はっ?」

 

「だけぇ、こんな厚手のセーターを着とったら、周りの人から「あの人、こんなに暖かい日にあんなセーター着とる」って笑われるが」

 

「……えっ?」

 

「「おかしな恰好しとる」って言われるが」

 

 

この人、そんなことを気にしてたんだ……

 

 

「あのさーー」

 

「なんだ?」

 

「例えそうだとしても、お父さんが寒いと感じたなら、温かい恰好をすることが大事じゃない?」

 

「……」

 

「人にどう見られようと、自分の体を大切にしてあげないと」

 

「……嫌だ。笑われたくない」

 

 「は? じゃあ、今日、セーターじゃないとしたら何を着て行くつもり?」

 

「長袖の薄いシャツ」

 

「それじゃ寒いって!」

 

「そうかなぁ?」

 

「当たり前だよ! だから、セーターでいいって!」

 

「変じゃないか?」

 

「変じゃない!」

 

「本当か?」

 

「嘘ついてどうする?」

 

「そうか。わかった」

 

 

 *

 

 

誰かが言った。

 

「お洒落はガマンだ」と。

 

それはよくわかる。

 

僕も昔はそうだったし。

 

けれど、今の年齢の僕は

 

「お洒落よりも身体保護」

 

に重点を置くようになった。

 

 

だが、

 

87歳のじじーー

 

父親は

 

未だに「他人からどう見られるか?」の視点を失っていない。

 

いや、そちらの方が大切なのだ。

 

伊達男の面目躍如と言っていい。

 

 

こうなったら

 

気温10度くらいの日に

 

「今日は真夏日だからアロハを着た方がいい。そうしないと笑われる」

 

と言ってみようと思う。

 

 

 

 

 

では、また。

 

 

 

 

追伸