ども、プロ野球の開幕を待つ岡田達也です。

 

 

 

 

 

読まなければならない小説があったので

 

近所の本屋に探しにいった。

 

残念ながら売ってなかったのでアマゾンで取り寄せた。

 

すぐに届いたのでワクワクしながら本を開いてみた。

 

(アマゾンのスピード感にはいつも感謝しております)

 

 

驚いた。

 

何がって

 

文字が、小さい。

 

小さすぎる。

 

 

これは文字なのか?

 

ひょっとして鳥取砂丘の砂粒が並んでいるだけじゃないのか?

 

 

メガネをかけてもう一度見てみた。

 

 

……ふむ

 

……どうやら小説らしい

 

 

ひょっとすると僕の老眼が急ピッチで進んでしまっているのだろうか?

 

それとも1954年初版発行という年代物なので、当時のままの級数で印刷され続けているから仕方ないのか?

 

それとも出版元である光文社文庫のイジメか?

 

 

理由はいずれにせよ

 

この瞬間、気持ちが折れた。

 

「読もう」という気力が萎えるのだ。

 

 

人生の先輩たちが

 

「目が悪くなってから本を読まなくなった」

 

と言っていた気持ちが今は痛いほどわかる。

 

僕は静かに本の表紙を閉じた。

 

 

それから二日間

 

僕は本を開かなかった。

 

しかし、いずれは絶対に読まなければならない本だ。

 

 

……困ったなぁ

 

kindle版を購入し直すか?

 

電子書籍は好きじゃないけど、背に腹は代えられないしなぁ

 

 

いや、

 

まてよ、

 

僕の記憶が確かならば

 

父・隆夫さん(87)が『ハズキルーペ』を持ってたような

 

最近は使ってないけど、確かどこかの引き出しにしまってあるはずだ……

 

 

僕は引き出しを漁った。

 

おっ!

 

あった、あった!

 

 

 

かけることに少し抵抗があったので

 

踏ん切りをつけるため

 

舘ひろしになった気分でハズキルーペをかけてみた。

 

(……そんなにハードルが高いのか?)

 

 

本を開いた。

 

 

な、

 

な、

 

なんてこった!!!

 

 

よ、

 

よ、

 

読めるじゃないかっ!!!!!

 

 

文字という文字が、くっきり浮かび上がってやがる!!!

 

 

すごいぞ!

 

ハズキルーペ!!

 

 

と、

 

そこへ隆夫さんが起きてきた。

 

 

「お父さん」

 

「なんだ?」

 

「これ、借りていい?」

 

「あぁ、えぇで。っていうか、それ、もう使ってないけぇあげるわ」

 

「えっ、いいの?」

 

「あぁ。もうかけることもないだろうし」

 

「ありがとう!」

 

「それなーー」

 

「?」

 

「人が乗っても壊れんだで(笑)」

 

「……」

 

「すごいだろ?」

 

 

僕は心の中で

 

「俺がプレゼントしたメガネの上に座ってメガネを破壊したのはあんただけどな」

 

という言葉を飲みこんで

 

「そうらしいね」

 

とだけ言っておいた。

 

 

これは、とても役立つ物を譲ってもらった。

 

本当にありがたい。

 

 

と、同時に

 

“もしかするとこれが父の形見分けになるんじゃないか?”

 

という予感もしている。

 

 

おとうさん

 

他にもわけてくださいよ

 

お待ちしてますから

 

 

 

 

 

では、また。