ども、近所の桜を満喫している岡田達也です。

 

 

 

 

 

昨日のつづき。

 

 

 *

 

 

1984年

 

アホ丸出しだった高校生の僕は

 

『麻雀放浪記』という作品に出合い

 

体中に電気を走らせビンビンになっていた。

 

 

「ヤクザ映画を見ると、自分が強くなった錯覚をする」という人は世の中にたくさん存在する。

 

自分が高倉健になったような

 

あるいは菅原文太になったような

 

そんな心持ちになるのだ。

 

 

それを笑ってはイケナイ。

 

人はそういう生き物だ。

 

 

それと同じで

 

『麻雀放浪記』を観た僕は

 

何の根拠もなく麻雀が強くなった錯覚を起こしていた。

 

ま、映画を観たクラスメイトみんな同じ気持ちだったと思うけど。

 

 

その後ーー

 

何がどう間違ったのか自分でも理解しがたいが

 

麻雀が好きだった高校生の僕は

 

演劇の道へ足を踏み入れてしまった。

 

 

そして

 

『麻雀放浪記』に出会ってから18年後の

 

2002年春

 

加藤健一事務所さんから

 

『煙が目にしみる』という作品で出演オファーをいただいた。

 

 

もちろん

 

演劇界においてのカトケンさんの偉大さは

 

僕ごときがここで細かく語ることなんてできないほど

 

長年に渡って素晴らしい活躍をされている方だけど

 

 

それ以前に

 

僕にとっては

 

17歳のときに観た

 

あの、

 

あの、

 

『麻雀放浪記』に出演して

 

“女衒の達(ぜげんのたつ)”を演じていた

 

あの、加藤健一さんなのだ!

 

どれだけ興奮したことか!

 

 

絶対に、絶対に

 

「麻雀放浪記の大ファンです!」と伝えなければ!

 

との思いを強くした。

 

 

が……

 

次の瞬間

 

「いやいや、まてまて……。「麻雀放浪記のファンです」なんて言う前に、まずは芝居でしっかり結果を残さないと、「キミを呼ぶんじゃなかった」とか言われたらシャレにならんぞ。浮かれている場合じゃないのでは?」

 

という恐怖心が襲ってきた。

 

 

だから

 

映画の話はひとまず置いといて

 

無事に初日の幕を開けて

 

加藤さんとちゃんとお話しできるようになったらこのことを伝えよう

 

それまでは胸にしまっておこう

 

そう考えた。

 

 

ご存じの方も多いと思うが

 

『煙が目にしみる』という作品は

 

いろんな団体で、何度も何度も上演されている名作だ。

 

僕は今でも大好きで

 

90分にも満たない上演時間で

 

こんなに笑って笑って泣ける作品を他に知らない。

 

まずは作品を壊さないようにしっかり仕事をすること

 

それを心掛けてがんばった。

 

 

そして稽古が進み

 

芝居は無事に幕を開けた。

 

東京公演の後

 

演劇鑑賞会で数えきれないほどいろんな地方を回った。

 

 

ある日

 

終演後の飲み会で

 

僕は勇気を出して言った。

 

「加藤さん、実は僕、『麻雀放浪記』の大ファンなんです!」

 

 

 

 

 

つづく

 

 

 

追伸

 

昨日の日記

 

名古屋章さんの間違いでしたね。

 

大変失礼いたしました。